ハリー・ポッターと賢者の石 第2章

年月が飛んで、ハリーは10歳になっている。
ダドリーがわがままなこどもだということ、バーノンとペチュニアがダドリーを甘やかしていることは、第1章ですでに書かれていたが、第2章ではそれが具体的に描写される。ハリーは無視されたり、いじめられたり、こき使われたりしている。

ペチュニアが魔法界について屈折した思いを持っていることは、「死の秘宝」を読むまで読者にわからない。でもわたしは、ここですでにペチュニアに同情していた。男の子ふたりを同時に育てるなんて、なみたいていの苦労じゃない。それも、ある日突然おしつけられたこどもだ。「この子さえいなければ、こんな苦労はしないのに」と思ったことは何度もあっただろう。
また、動物園に出かける前のペチュニアとバーノンのせりふから、ハリーが何度もダーズリー家に物理的な損害を与えていたことが推測できる。
「それで、帰ってきたら家がバラバラになってるってわけ?」
「新車だ。ハリーをひとりで中に残していうわけにはいかん」
ハリーはこの10年間に、何をどれだけ壊したのだろう。

ハリーは無意識に魔法を使っていたのだ。散髪された髪がすぐ伸びたり、ハリーが着たくないと思っているセーターが縮んでしまったり、学校の屋根にテレポートしたり。

ここで名前だけ出てくるフィッグばあさんが、実は魔法界とつながっていたというのは、「不死鳥の騎士団」でわかる。いや、カンのいい人は「炎のゴブレット」のラスト近くで気づくだろう。(わたしは気づかなかったが)

動物園でハリーは蛇と会話をする。蛇がウィンクしたのがきっかけだ。
生物学的にはおかしい。蛇にはまぶたがないから、眠る時も目を閉じない。もちろんウィンクもしない。また、蛇は音声でコミュニケーションすることはない。
つっこみどころではあるが、ま、いいだろう。この作品はSFではなくファンタジーなんだから。

ハリーの記憶の中に、緑の閃光がある。これがアバダケダブラを発する時の光だというのは、「炎のゴブレット」で判明する。

ハリーは外出先で、見知らぬ人にあいさつされたり握手を求められたりしている。その理由は、第5章であきらかになる。