2015-01-01から1年間の記事一覧

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第15章)ガブリエルの年齢を訂正

12月20日の記事で、フラーの妹ガブリエルの年齢を17歳と推定した。10月30日にホグワーツへやってきたボーバトンの生徒たちが全員17・8歳以上に見えた、とあったからだ。 ところが26章に、人質の女の子はせいぜい8歳ぐらいと書かれている。つまり、ガブリエ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第15章)

ハリーはシリウスを心配させないために、「傷跡が痛んだのは僕の思い過ごし。何も問題はありません」と手紙を書く。シリウスの性格を考えれば、そんな手紙は無駄だと思うが、この時点ではハリーも読者もシリウスの性格を知らない。 手紙を運んでくれるヘドウ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第14章)

この章の1ページ目に、「…今年で四年連続、スネイプはその職につきそこねた」と書かれている。 これは、客観的にはおかしい。スネイプはもう十年以上ホグワーツで働いているのだし、彼が「闇の魔術に対する防衛術」の教師の職を望んでいるのなら、四年では…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第13章後半)

夕食のためホールに行く途中、ドラコが新聞記事をかざしてロンをからかう。 ハリーが言い返す。 先に嫌がらせを始めたドラコの方が悪いけれど、ハリーの反撃もあまりほめた言い方じゃないと思った。 ハリーが背を向けたとたん、ドラコが背後から攻撃したが、…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第13章前半)

始業式パーティーの翌日、最初の授業は、薬草学だった。 温室には「プボチューバー」というみにくい植物があり、生徒たちはその植物をつついて出るうみを瓶に集めた。ニキビにすばらしい効き目があるという。「これで、ニキビをなくそうと躍起になって、生徒…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第12章後半)

話は少しだけ戻るが、学年始めのパーティーに列席している教師をハリーが数えている。 フリットウィック、スプラウト、シニストラ、スネイプ、ダンブルドア。マクゴナガルは一年生を引率して入ってくる。ハグリッドは遅れて、組分け儀式の最中に入ってきた。…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第12章前半)

城に着いたハリーたちは、雨にずぶぬれのまま大広間に入った。 魔法であれだけいろいろなことができるのに、濡れた服を乾かす呪文はないのだろうか? 「…スリザリン、レイブンクロー、ハッフルパフのテーブルを通り過ぎ、大広間の一番奥にあるテーブルで、他…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第11章)

ウィーズリー家で約一週間を過ごしたハリーは、9月1日にホグワーツへ向かうが、その前に、ヴォルデモートがどうしていたか、第36章を参考にして考えてみよう。 ハリーがダーズリー家でリドル邸の夢を見た日、ヴォルデモートとピーターはそこにいた。ヴォル…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第10章)

アーサーとその息子・娘たち、それにハリーとハーマイオニーを入れて総勢十人は、ポートキーを使って早朝にウィーズリー家に戻る。行きも帰りも早朝だったのは、ポートキーによる移動をマグルに見られない用心なのだろう。 家の外では、モリーが心配しながら…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第9章後半)

映画では、クラウチJr.がモースモードルの呪文を唱える姿が、一瞬だけど映る。 いや、それより前、ハリーがリドル邸を夢に見るとき、すでにクラウチJr.がいる。 原作では、クラウチJr.が自身の姿を現すのはラスト近くになってからだ。もっとも、第30章でハリ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第9章前半)

「賭けをしたなんて母さんには絶対言うんじゃないよ」とアーサーがフレッドとジョージに言う。 アーサーとモリー、夫婦仲は良いという前提で書かれているようだが、それにしては隠しごとが多すぎやしないか? 各巻のあちこちに「モリーには内緒だよ」という…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第8章後半)

ルード・バグマンが杖をのどにあて、「ソノーラス」と呪文を唱える。 呪文で、杖をマイクロフォンとスピーカーにすることができるのだ。魔法使いは電気を知らないが、これなら電気は要らないわけだ。そういえばハーマイオニーが「マグルが魔法の代用品に使う…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第8章前半)

第8章の前半は、屋敷妖精ウィンキーとの出会い、そしてワールドカップ会場の描写が中心だ。 キャンプをしている森から競技場まで、歩いて二十分。 「ハリーには競技場を囲む黄金の壁のほんの一部しか見えなかったが…」と書かれているから、巨大な建物だ。一…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第7章後半)

ハリーたちが水を汲んでテントに戻る途中、チョウ・チャンに会う。ハリーがどぎまぎしている描写がある。 続いて外国人の生徒らしいグループに会い、国外の学校の話になる。 ビルがブラジルにペンフレンドを持っていた。ブラジルの学校と交換訪問旅行があっ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第7章前半)

ポートキーを使って移動したハリーたちが着いたところは、霧深い荒れ地だった。 マグルに見られずに移動できるよう、わざわざ霧がよく発生する場所を選んだのかもしれない。 そこには、魔法省の役人がふたりいた。ひとりはアーサーとファーストネームで呼び…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第6章)

翌日、予定どおり朝早くハリーたちは起こされた。 ハリー、ロン、フレッド、ジョージの4人がキッチンへ降りていくと、モリーは鍋をかきまわしていて、アーサーは羊皮紙の切符を改めていた。 アーサーは、自分の服装がマグルらしく見えるかと、ハリーに尋ね…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第5章)

「ぼやけた暖炉の影が次々と矢のように通り過ぎ、やがてハリーは気持ちが悪くなって目を閉じた。しばらくして、スピードが落ちるのを感じ…」 この記述を読むと、煙突飛行ネットワークを使う移動は、姿あらわしのような瞬間移動ではなさそうだ。少なくとも数…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第4章)

第3章で書き忘れたことがひとつ。 小説の内容ではなく、日本語への翻訳の問題だ。 ハリーは、シリウスに手紙を書くとバーノン伯父をおどかすが、その時のハリーの気持ちは「やったぞ。殺し文句を言ってやった」と書かれている。 翻訳者が「殺し文句」という…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第3章)

第1章はリトル・ハングルトン村、第2章はハリーの部屋。そして第3章は、ダーズリー家のダイニングルームから始まる。 小説の記述は前後しているが、一応できごと順にこの章に書かれていることをまとめてみよう。 夏休みに入ってすぐ、ダドリーのダイエッ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第2章)

ハリーは目を覚まして、今の夢を振り返った。 いや、単なる夢ではない。そしてハリー自身も、これが単なる夢ではないことを知っているようだ。 ヴォルデモートと心がつながっていることを、ハリーはまだ知らない。しかし一年生の時すでに、ヴォルデモートが…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第1章)

いよいよ第4巻。 この巻の第1章は、これまでとずいぶん雰囲気が違う。 「賢者の石」の第1章では、ハリーが1歳だったから第三者視点から書かれていたが、しかし話題の中心はハリーとその周辺だった。そして、「賢者の石」の2章から「アズカバンの囚人」…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第22章後半)

翌日、ハリーたち3人は退院した。 ハリーとハーマイオニーは病気も怪我もなく、ディメンターの影響で精神的ダメージを受けただけだった。ロンは足を骨折していたが(前述したように、この骨折は不自然すぎるが)マダム・ポンフリーは骨折をあっという間に治…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第22章前半)

シリウスを見送っているハリーに、ハーマイオニーが言う。 「誰にも見つからずに病棟まで戻るのに、十分きっかりしかないわ」 逆転時計というのは、時間を戻した場合、元の時間に追いついた時にもとの場所にいなければならないようだ。ま、当然のことだろう…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第21章後半)

ダンブルドアは、具体的な指示をしなかった。ただ、「必要なのは、時間じゃ」「首尾よく運べば(中略)ひとつといわずもっと、罪なきものの命を救うことができる」と言っただけだ。ヒントだけ与えて具体的なことを言わないのは、日頃からのダンブルドアのく…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第21章前半)

湖のそばで気を失ったハリーとハーマイオニーが意識を取り戻したのは、医務室だった。 半開きのドア越しに、ファッジ大臣とスネイプの会話が聞こえてくる。ハリーより先に目を覚ましていたハーマイオニーが、その会話に聞き入っている。ロンも医務室にいるが…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第20章後半)

ロンはピーターの攻撃を受けて意識が混濁し、ハリーの顔もわからない様子だ。 ピーターが逃げたと知ったシリウスはその方向へ走るが、間もなくキャンキャンという悲鳴が聞こえてくる。ロンのことは心配だが、今は何をしてやることもできないと、ハリーはとっ…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第20章前半)

叫びの屋敷から、彼らは地下道を通って学校へ戻る。 ペティグリューは手錠をかけられ、手錠は片手ずつルーピンとロンにつながれていた。 シリウスは気を失ったままのスネイプを宙づりにして運ぶ。 シリウスは、遠慮がちにハリーに提案する。容疑が晴れたら、…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第19章後半)

「この猫は狂ってはいない」シリウスが言う。「わたしの出会った猫の中で、こんな賢い猫はまたといない」 ハーマイオニーがペットとして飼っている描写を見る限り、クルックシャンクスが特別な猫だというエピソードはなかった。クルックシャンクスが人間と意…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第19章前半)

ロンを捕らえて地下道に入り、叫びの屋敷まできたシリウス・ブラック。それを追ってきたハリーとハーマイオニー。そこへやってきたルーピン。 学生時代にハリーの父やシリウスと友人だったこと、自分が狼人間であり、シリウス・ジェームズ・ピーターが動物も…

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第18章)

18章から21章までは怒濤の展開で、状況が二転三転する。ハリー・ポッターシリーズは全体に冗長な部分が少ないが、ここは特に中身の濃い部分だと思う。 ところで、「動物もどき(アニメーガス)ということばが前章の最終行に出てくるが、ここが初出だったかな…