ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第13章前半)

始業式パーティーの翌日、最初の授業は、薬草学だった。
温室には「プボチューバー」というみにくい植物があり、生徒たちはその植物をつついて出るうみを瓶に集めた。ニキビにすばらしい効き目があるという。「これで、ニキビをなくそうと躍起になって、生徒がとんでもない手段をとることがなくなるでしょう」とスプラウト先生が言う。
ストーリーには直接からまない話題だが、魔法界の説明としておもしろい。魔法使いの少年少女も、ニキビに悩むのだ。マグルの少年少女がいろいろな薬をためすのと同じように、魔法使いは自分のニキビに呪いをかけて(消失呪文かも)素人治療を試みるものらしい。

ここで引き合いに出されるエロイーズ・ミジェンは、直接登場しないが、ニキビに悩む生徒のようだ。
「不死鳥の騎士団」17章に出てくるエロイーズ・ミジョンと、おそらくは同一人物だろう。実は原作でも名前のスペルが一字だけ違うのだけれど。
同一人物だとすると、プボチューバーから作った薬が効かなかったのか?

薬草学の次は、魔法生物飼育学だ。
ハグリッドは、奇妙な生き物をたくさん箱に入れて生徒たちを待っていた。「尻尾爆発スクリュート」とハグリッドは呼んでいる。
「俺はこいつらを飼ったことがねえんで、何を食うのかよくわからん」というハグリッドのことばにあきれた。自分が飼い方を知らない動物を教材にするなんて、いくらなんでも無責任すぎる。
「こいつらは何の役にたつのだろう?」とマルフォイに聞かれて、答えられなかったことも情けない。あとでハーマイオニーが批判していたが、彼女は百パーセント正しいと思う。その公正さ、客観的な視点はさすがだ。

午後は占い学だった。
惑星の動きが人の運命に影響することや、自分が生まれた時の星の位置が占いでは重要だということは、はるか昔のバビロニア占星術師が考えていたことで、ローリングさんの発明ではない。しかしこの伝統的な考え方を、インチキ占い師のトレローニーが教えるというところがおもしろい。

ところで、トレローニー先生は自分の占いをどう考えているのだろうか。
口からでまかせを言っていると、自覚しているのだろうか。それとも自分の占いは正しいと信じているのだろうか。何度も予言をはずしているのに。