#読書
叫びの屋敷に着いた。トンネルの出口が木箱のようなものでふさがれていたが、ハリーは隙間から覗いた。 ナギニが透明な球体の中でとぐろを巻いているのが見えた。この球体は、ヴォルデモートが施した魔法の護りなのだろう。 スネイプとヴォルデモートが話し…
フレッドの死に動揺しながらも、戦いは続いた。いや、ここで本格的な戦いになったと言う方が当たっているかもしれない。これまでは死喰い人だけとの戦いだったが、禁じられた森の大蜘蛛たちが参戦してきたのだ。ハリーとロンは建物の壁をはい上がってきた大…
ハリーがネビルの祖母に会うのは二度目だ。 「不死鳥の騎士団」で病院にアーサーを見舞ったとき、ハリーたち三人はネビルの祖母に会っている。そういえば、マクゴナガル先生は彼女を「オーガスタ」とファーストネームで呼んでいた。ひょっとして同時期にホグ…
「カロー兄妹はどこだ?」とスネイプが静かな声で聞き、「あなたが指示した場所だと思いますね」とマクゴナガルが冷静に答える。緊迫した場面なのに、それぞれが内心の興奮を抑えてやりとりするところがすごい。 スネイプはマクゴナガルを見透かすようにあた…
アレクトの指が闇の印に触れたとたん、ハリーはヴォルデモートの心とつながった。 ハリーがヴォルデモートの視点になるきっかけはひとつではないと思うが、このときは「ハリーを捕らえた」という知らせに喜んだ、つまり心の高ぶりがきっかけになったようだ。…
ハリーたち三人はホグワーツの敷地内に入ることを目指してホグズミードにやってきた。そして、アリアナの肖像画とネビルとの案内で、やすやすとホグワーツに入ることができた。このことは期待以上だった。 しかしたどり着いた「必要の部屋」で、二十人もの生…
ドラゴンに乗って、グリンゴッツを無事脱出できた三人。 しかしドラゴンがどこに行くのかはわからない。飛び続けているうちに、日没になった。ドラゴンは高度を落とし始めた。湖を見つけてそこへ降りようとしているようだ。 ハリーの合図で、三人は湖へ飛び…
錯乱の呪文と服従の呪文で何とかその場を切り抜け、ハリーたち三人とグリップフックは銀行の内部に入ることができた。年老いたゴブリンのボグロットが、服従の呪文によって鳴子を手についてきた。グリップフックは職場を離れていたためトロッコを運転する権…
貝殻の家に着いてから、数週間がたっていた。 「マントルピースの上に置かれた小瓶には、長くて硬い黒髪が一本--マルフォイの館で、ハーマイオニーの着ていたセーターからつまんだ毛だ--丸まって入っていた」と書かれている。 この髪の毛を使って、ハー…
貝殻の家に着いたその日にでもグリップフックをミュリエル大おばの家に移すことができたのに、何日もこの家に留めているのは、ハリーがそう頼んだからだった。グリンゴッツに入るのに、グリップフックが必要だったからだ。 人間とは好みが違うグリップフック…
「僕は知るべきだった。でも、求めるべきではなかったのですね?」「だからあなたは、何もかも。これほどまでに難しくしたのですね? 自分で悟る時間をかけさせるために、そうなさったのですね?」 ハリーは心の中でダンブルドアに呼びかけた。何のことかは…
三人はどこかの草地に着地した。「どこかの」と言っても、姿くらましの主導権をとったハーマイオニーには、どこだかわかっていただろう。ハリー視点で書かれているから、見知らぬ場所という表現になっているのだ。 ハリーが立ちあがったとき、ハーマイオニー…
「死の秘宝」と呼ばれるアイテムそのものは、これまでの巻にすでに登場している。 透明マントは「賢者の石」のクリスマスにハリーが入手し、その後どの巻でも活躍した。 蘇りの石は「謎のプリンス」4章、スラグホーンの住まいを訪ねた時に、ダンブルドアの…
三人のテント生活がまた始まった。 ロンが戻った翌日の午後、ハリーとハーマイオニーは初めて「禁句」のことを知った。 「ヴォルデモート」という名前には魔法がかけられていて、誰かがその名を発音すると、ある種の魔法の乱れが起こり、その位置が検知でき…
ハリーは服を着た。 ロンの方は服のまま飛び込んだので、服ごとずぶぬれだった。 あとで、ハーマイオニーに話すところでやっとわかるのだが、ロンはハリーが池に入っていくのを見た。しばらくハリーが上がって来るのを待ったが、何かがおかしいと気づいて池…
ハーマイオニーの杖を借りはしたが、自分の杖を使えないことは大きな痛手だった。 この時のハリーの気持ちは、とてもていねいに描写されている。この作品の特長のひとつは、心理描写がていねいなことだと思う。 ハリーは折れた杖を、ハグリッドがくれた巾着…
ハリーが我に返ったのは、夜明け近くだった。 ヴォルデモートの意識とハリーの意識がつながったのは昨夜のことだ。ハリーはその時のことを、夢で反復していたようだ。 ハリーは何時間もの間、正気を失ったまま、叫んだりうめいたりしていたらしい。ハーマイ…
ハーマイオニーは、思い立ったらすぐにそれを実行に移すというタイプではない。 「炎のゴブレット」でハリーを手伝ったのも、「不死鳥の騎士団」でDAを提案したのも、しっかり考えた上でのことだろう。 今度も、ゴドリックの谷へ行こうと思いついてから、「…
あとでわかることだが、ロンはテントを出ていったあと、すぐに戻りたいと思った。しかし、人さらいにつかまり、何とか逃げてハリーたちを追ったが、ハーマイオニーの保護呪文をかけられたテントを見つけることができなかった。ではどこにいたのか? 隠れ穴へ…
テントの外の五人が立ち去ったあと、ハーマイオニーはビーズバッグからフィニアス・ナイジェラスの肖像画を取り出した。 フィニアスの顔が現れると、ハーマイオニーはすぐさま呪文で目隠しをかけた。自分たちがどこにいるかをスネイプに知らせないためだ。あ…
魔法省から逃走し、ワールドカップがあった森へ着いて、一夜が明けた。 三人の「分霊箱探しの旅」は、実質的にはここで始まる。 早朝、ハリーはテントを出て森の中を歩き、大きな木の根元にムーディの目玉を埋めた。 結婚式場から逃げ出した直後に喫茶店で襲…
この章の章タイトルは The Thief(盗っ人)だ。読み始めにはマンダンガスのことかと思ったが、実はグレゴロビッチから杖を盗んだ男のことだった。その男を追うヴォルデモートの意識は、ときどきハリーの意識と重なる。それがグリンデルバルトだったことをハ…
本物のロケットを持っているのはアンブリッジだと判明したので、ハリーたちは魔法省に行ってロケットをうばうことを考え、その準備を始めた。 ただ、それがわかるのは、この章を数ページ読み進んでからだ。 小説の記述は、まず8月末のグリモールド・プレイ…
Pottermore には、レギュラスの死が1980年頃だと書かれている。ハリーが生まれた年だ。 レギュラスがすぐに自殺行為に出ず、もう一年か二年様子を見ていたら、ヴォルデモートが凋落するのを見て、安全にダンブルドアと連絡をとれたのに。分霊箱のことをダン…
ハリーがクリーチャーの名前を呼ぶと、姿あらわしを示すパチンという音がして、クリーチャーが姿をあらわした。 名前を呼ぶだけで、何百キロも離れた場所にいる屋敷妖精を瞬時に呼び出せる。それも、部屋がいくつもあるブラック邸の中の、ハリーが今いる部屋…
「客は蜘蛛の子を散らすように走り出し、大勢が姿くらましをした。隠れ穴の周囲に施されていた保護の呪文は破れていた」と書かれている。 姿くらましで出入りできないようになっていたはずなのに、それがすでに破られているということは、魔法省にいる死喰い…
ハリーは列席者の中にエルファイス・ドージを見つけた。日韓予言者新聞に長文のダンブルドア追悼文を書いた人だ。その記事に添えられていた写真の記憶から、ドージだとわかったのだ。ハリーは本当の名前を名乗って、ドージに話しかけた。せっかく他人に化け…
翌日。結婚式が始まろうとしていた。 ハリーはポリジュース薬を飲んで、赤毛の他人になりすましていた。「親戚の多いウィーズリー一族にまぎれこませ、『いとこのバーニー』として紹介するという計画になっていた」と書かれている。ウィーズリーの親戚はみな…
アーサーといっしょに入ってきた魔法大臣スクリムジョールは、前に会ったときより頬がこけ、厳しい表情になっていた。就任から一年、いろいろ苦労があったのだろう。 しかし、このあとの話を読むと、彼に同情しかけた気持ちがふっとんでしまう。 スクリムジ…
7月31日の夜明け。ハリーの夢からこの章が始まる。ヴォルデモートの意識とつながっている夢だ。ハリーはこのような夢を過去にも何度か見ている。 今回、ヴォルデモートは山道を歩いている。ある男に会いに行くところだ。その男が、ヴォルデモートが求めてい…