2019-01-01から1年間の記事一覧

ハリー・ポッターと死の秘宝(第32章後半)

叫びの屋敷に着いた。トンネルの出口が木箱のようなものでふさがれていたが、ハリーは隙間から覗いた。 ナギニが透明な球体の中でとぐろを巻いているのが見えた。この球体は、ヴォルデモートが施した魔法の護りなのだろう。 スネイプとヴォルデモートが話し…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第32章前半)

フレッドの死に動揺しながらも、戦いは続いた。いや、ここで本格的な戦いになったと言う方が当たっているかもしれない。これまでは死喰い人だけとの戦いだったが、禁じられた森の大蜘蛛たちが参戦してきたのだ。ハリーとロンは建物の壁をはい上がってきた大…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第31章後半)

ハリーがネビルの祖母に会うのは二度目だ。 「不死鳥の騎士団」で病院にアーサーを見舞ったとき、ハリーたち三人はネビルの祖母に会っている。そういえば、マクゴナガル先生は彼女を「オーガスタ」とファーストネームで呼んでいた。ひょっとして同時期にホグ…

はりー・ポッターと死の秘宝(第31章前半)

ハリーは懐かしい大広間にいた。 寮監たちの指示で、生徒が大広間に集まっていた。ホグワーツの教師たち、騎士団メンバーや元DAメンバーも大広間に集結していた。 スネイプが逃亡したので、学校全体に指示を出すのは副校長のマクゴナガルだった。 真夜中近い…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第30章後半)

「カロー兄妹はどこだ?」とスネイプが静かな声で聞き、「あなたが指示した場所だと思いますね」とマクゴナガルが冷静に答える。緊迫した場面なのに、それぞれが内心の興奮を抑えてやりとりするところがすごい。 スネイプはマクゴナガルを見透かすようにあた…

はりー・ポッターと死の秘宝(第30章前半)

アレクトの指が闇の印に触れたとたん、ハリーはヴォルデモートの心とつながった。 ハリーがヴォルデモートの視点になるきっかけはひとつではないと思うが、このときは「ハリーを捕らえた」という知らせに喜んだ、つまり心の高ぶりがきっかけになったようだ。…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第29章後半)

ハリーたち三人はホグワーツの敷地内に入ることを目指してホグズミードにやってきた。そして、アリアナの肖像画とネビルとの案内で、やすやすとホグワーツに入ることができた。このことは期待以上だった。 しかしたどり着いた「必要の部屋」で、二十人もの生…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第29章前半)

肖像画の奥のトンネルから現れたネビルは、衣服はボロボロで顔は傷だらけだった。 「君たちが来ることを信じてた!」とネビルは顔を輝かせて言った。そしてアバーフォースを見て「アブ、あと二人来るかもしれないよ」と言った。 「アブ」という略称で呼ぶと…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第28章後半)

原作者はこの小説で、何人もの際立ったキャラクターを書き分けている。中でもわたしがもっとも興味を惹かれるのはアバーフォースだ。いつか、アバーフォースを主人公にしたスピンオフ作品を読みたいものだと思っている。 ハリーが生まれる前から、身分を隠し…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第28章前半)

26章から最後の36章までの時間の進み方がよくわからない。全部で2日間、あるいは3日間のできごとなのだろうか? 話が目まぐるしく進んで切れ目がない。まさにクライマックスの部分だ。 三人は透明マントをかぶって、姿あらわしでホグズミードに着いた。見…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第27章)

ドラゴンに乗って、グリンゴッツを無事脱出できた三人。 しかしドラゴンがどこに行くのかはわからない。飛び続けているうちに、日没になった。ドラゴンは高度を落とし始めた。湖を見つけてそこへ降りようとしているようだ。 ハリーの合図で、三人は湖へ飛び…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第26章後半)

錯乱の呪文と服従の呪文で何とかその場を切り抜け、ハリーたち三人とグリップフックは銀行の内部に入ることができた。年老いたゴブリンのボグロットが、服従の呪文によって鳴子を手についてきた。グリップフックは職場を離れていたためトロッコを運転する権…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第26章前半)

貝殻の家に着いてから、数週間がたっていた。 「マントルピースの上に置かれた小瓶には、長くて硬い黒髪が一本--マルフォイの館で、ハーマイオニーの着ていたセーターからつまんだ毛だ--丸まって入っていた」と書かれている。 この髪の毛を使って、ハー…

はりー・ポッターと死の秘宝(第25章後半)

貝殻の家に着いたその日にでもグリップフックをミュリエル大おばの家に移すことができたのに、何日もこの家に留めているのは、ハリーがそう頼んだからだった。グリンゴッツに入るのに、グリップフックが必要だったからだ。 人間とは好みが違うグリップフック…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第25章前半)

前章でハリーは、ヴォルデモートがニワトコの杖を取りに行くのを察していながら、それを止めに行かなかった。その時は正しい選択をしたと思ったのだが、それから数日間、はたしてそれで良かったのかと迷いが生じた。ロンは最強の杖にこだわり、ハーマイオニ…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第24章後半)

「僕は知るべきだった。でも、求めるべきではなかったのですね?」「だからあなたは、何もかも。これほどまでに難しくしたのですね? 自分で悟る時間をかけさせるために、そうなさったのですね?」 ハリーは心の中でダンブルドアに呼びかけた。何のことかは…

はりー・ポッターと死の秘宝(第24章前半)

ドビーは「ハリー…ポッター…」と、ハリーの名を呼びながら息を引き取った。ハリーは、もう聞こえないとわかっていても、ドビーの名前を呼び続けた。 しばらくして、まわりにビル、フラー、ディーン、ルーナが集まってきた。ビルとフラーの家に着いていたのだ…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第23章後半)

ハーマイオニーが階上の広間に残され、残りの捕虜は地下牢に入れられた。残りというのはハリー、ロン、ディーン、それにグリップフックだ。全員が背中合わせに縛られていた。 地下牢へ行くときの描写に「グレイバックは、前に突き出した杖から抵抗し難い見え…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第23章前半)

禁句の魔法で保護呪文が敗れ、暗闇の中で六人もの敵に囲まれたハリーたち。 この時も、とっさの行動をとったのはハーマイオニーだった。ハリーに杖を向け、無言呪文をかけた。白い光が炸裂し、ハリーの顔が痛みをともなって膨れ上がった。 六人の中にフェン…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第22章)

三人はどこかの草地に着地した。「どこかの」と言っても、姿くらましの主導権をとったハーマイオニーには、どこだかわかっていただろう。ハリー視点で書かれているから、見知らぬ場所という表現になっているのだ。 ハリーが立ちあがったとき、ハーマイオニー…

はりー・ポッターと死の秘宝(第21章後半)

「死の秘宝」ということばが初めて登場するのがこの章。そして、「三つをを集められれば、持ち主は死を制する者となるだろう」ゼノフィリウスは言った。 この「死を制する」のほんとうの意味は、33章のダンブルドアのせりふで明らかになる。なお、「死を制す…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第21章前半)

「死の秘宝」と呼ばれるアイテムそのものは、これまでの巻にすでに登場している。 透明マントは「賢者の石」のクリスマスにハリーが入手し、その後どの巻でも活躍した。 蘇りの石は「謎のプリンス」4章、スラグホーンの住まいを訪ねた時に、ダンブルドアの…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第20章)

三人のテント生活がまた始まった。 ロンが戻った翌日の午後、ハリーとハーマイオニーは初めて「禁句」のことを知った。 「ヴォルデモート」という名前には魔法がかけられていて、誰かがその名を発音すると、ある種の魔法の乱れが起こり、その位置が検知でき…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第19章後半)

ハリーは服を着た。 ロンの方は服のまま飛び込んだので、服ごとずぶぬれだった。 あとで、ハーマイオニーに話すところでやっとわかるのだが、ロンはハリーが池に入っていくのを見た。しばらくハリーが上がって来るのを待ったが、何かがおかしいと気づいて池…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第19章前半)

8章の結婚式でのリュミエル大おばの話、11章でのリータの新聞記事、そしてハーマイオニーが持ってきたリータの著書。ダンブルドアの生涯に関する情報は、三段構えでハリーの疑念を増大させていった。ハーマイオニーと見張りを交代して寝床に入っても、ろくに…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第18章)

ハーマイオニーの杖を借りはしたが、自分の杖を使えないことは大きな痛手だった。 この時のハリーの気持ちは、とてもていねいに描写されている。この作品の特長のひとつは、心理描写がていねいなことだと思う。 ハリーは折れた杖を、ハグリッドがくれた巾着…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第17章後半)

ハリーが我に返ったのは、夜明け近くだった。 ヴォルデモートの意識とハリーの意識がつながったのは昨夜のことだ。ハリーはその時のことを、夢で反復していたようだ。 ハリーは何時間もの間、正気を失ったまま、叫んだりうめいたりしていたらしい。ハーマイ…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第17章前半)

ふたりは墓場の出口に向かった。マグルの姿にはなっていたが、念のため透明マントをかぶった。 少し歩いたところで、ハリーは壊された家を見つけた。それがポッター家だった。 ハリーが門に触ると、木の掲示板が地面からせり上がってきた。ここがポッター家…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第16章後半)

ハーマイオニーは、思い立ったらすぐにそれを実行に移すというタイプではない。 「炎のゴブレット」でハリーを手伝ったのも、「不死鳥の騎士団」でDAを提案したのも、しっかり考えた上でのことだろう。 今度も、ゴドリックの谷へ行こうと思いついてから、「…

ハリー・ポッターと死の秘宝(第16章前半)

あとでわかることだが、ロンはテントを出ていったあと、すぐに戻りたいと思った。しかし、人さらいにつかまり、何とか逃げてハリーたちを追ったが、ハーマイオニーの保護呪文をかけられたテントを見つけることができなかった。ではどこにいたのか? 隠れ穴へ…