2016-01-01から1年間の記事一覧

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第8章前半)

部屋に入った瞬間、ハリーは息を飲んだ。 ここは「炎のゴブレット」30章で、ペンシーブの中で見た部屋だった。あのときハリーは3件の裁判を見た。カルカロフの裁判、ルード・バグマンの裁判、そしてクラウチJr.とベラトリックスを含む4人の裁判だ。中央に…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第7章)

尋問の日の朝がきた。 「ウィーズリーおばさんがベッドの足もとに、洗い立てのジーンズとTシャツを置いてくれていた」と書かれている。モリー・ウィーズリーは世話好きで、ハリーの母親代わりにこういう気づかいを見せる描写が時々出てくる。ハリーはときに…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第6章後半)

クリーチャーがつぶやく。 「タペストリーが捨てられてしまったら、奥様はクリーチャーめを決してお許しにならない。七世紀もこの家に伝わるものを」 シリウスがそれを聞きつけ、「もし取り外せるなら、わたしは必ずそうする。クリーチャー、さあ、立ち去れ…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第6章前半)

それぞれが寝室に戻った。 ハリーとロンが同室だった。フレッドとジョージが姿あらわしで部屋にやってきて、シリウスが言いかけた「武器」について議論を始めた。 しばらくすると、モリーが階段を上がってくる足音がしたので、話をやめ、寝たふりを始めた。 …

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第5章後半)

食事が終わり、モリーが「もう寝ましょう」と言った。そのまま解散していれば、おだやかな夜になるはずだった。そうならなかったのは、シリウスのひとことがきっかけだった。 「いいか、君にはおどろいたよ。ここに着いたとき、君は真っ先にヴォルデモートの…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第5章前半)

シリウスの説明で、ここがシリウスの両親の家であること、シリウスがブラック家の最後の生き残りであること、この家が「不死鳥の騎士団」の本部として使われていることがわかる。 ハリーはなつかしいシリウスに会えてうれしかったが、シリウスは機嫌が悪かっ…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第4章後半)

この物語全体で、名がわかっている屋敷妖精は4人。 すでにおなじみのドビー、「炎のゴブレット」だけに登場するウィンキー、そしてこの巻で登場するクリーチャー。あとひとりは「謎のプリンス」に出てくるホキーだ。4人とも、魔法使いが屋敷妖精を見下して…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第4章前半)

ハリーに見せた羊皮紙のメモを、ムーディはすぐに燃やした。もし誰かに見られたら、「守人が秘密をもらした」ことになるのだろう。 ハリーは目の前の建物を見た。11番地のとなりが13番地になっている。ハリーがおどろいたところをみると、イギリスではほぼあ…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第3章)

前章でペチュニアおばさんに「自分の部屋にいなさい。外に出てはいけない。寝なさい」と言われたハリーは、しかたなく自室に戻る。 そして三通の短い手紙を書く。ロン、ハーマイオニー、シリウスあてだった。今この3人がどこにいるのか、ハリーは知らない。…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第2章後半)

ペチュニアおばさんはダドリーを見て叫び声をあげ、夫を呼んだ。バーノンもやってきて、ダドリーが青ざめて吐いているのを見た。 ハリーは隙を見て二階へあがろうとしたが、ダドリーがハリーを指差して「あいつ」と言ったので、ダーズリー夫妻はハリーが犯人…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第2章前半)

フィッグばあさんとのやりとりで、意外なことがいろいろわかる。 フィッグはスクイブだった。そして、ダンブルドアをよく知っていた。マンダンガスがハリーを護衛することになっていたが、マンダンガスが任務放棄しないよう警告し、万が一を考えて猫のティブ…

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第1章)

「不死鳥の騎士団」の第1章は、イライラしているハリーの描写から始まる。 「秘密の部屋」の書き出しにちょっと似ているけれど、あの時のハリーは、イライラというより不安にさいなまれていた。クィレルにとりついたヴォルデモートと直接対決した恐怖や、ロ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第37章後半)

この場面でハグリッドは、こんなことも言う。 「おまえさんは、おまえの父さんと同じぐらい大したことをやってのけた。これ以上のほめ言葉は、俺にはねえ」 ハグリッドは「賢者の石」4章でハリーに初めて会ったときも「おまえの父さん、母さんはな、おれの…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第37章前半)

悲劇的な第三の課題の次の朝、ハリーはディゴリー夫妻に会った。 「二人とも、あの出来事に対して、ハリーを責めなかった。それどころか、セドリックの遺体を二人のもとに返してくれたことを感謝した」と書かれている。 ここを読んだ時の第一印象は、違和感…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第36章後半)

ハリーはどのくらい眠っていたのだろう。あとの描写を考えると、一時間もたっていなかったようだ。 ハリーが目をさますと、そばにモリーとビルがいた。誰かが言い争っている。それはマクゴナガルとファッジ大臣だった。このふたりとスネイプが言い争いながら…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第36章前半)

バーティ・クラウチJr. の長い告白が終わった。 この巻の初めからのいきさつをすべて解き明かす、クライマックスだった。 ダンブルドアは杖先から縄を出し、クラウチJr. を縛って、マクゴナガルに見張りを頼んだ。 そしてスネイプには、本物のムーディを治療…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第35章後半)

ムーディの話から、ハリーはやっと、彼が味方でないことをさとった。ムーディはハリーをヴォルデモートのもとへ届けるために、味方のふりをしてあれこれ画策していたのだ。 ムーディが杖を上げた。この時のムーディは、どんな呪文を使うつもりだったのだろう…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第35章前半)

ハリーは地面にたたきつけられるのを感じた。ショックと疲労で動けなかった。 人が集まってきて、ハリーは自分が迷路の入り口に戻ってきたことを知る。 するとこのポートキーは、もともと、優勝者がタッチしたときに迷路の入り口にテレポートするようにセッ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第34章)

ヴォルデモートの命令で、ワームテールがハリーの口に入れた布をはずし、ハリーを墓石にしばりつけていた縄を解いた。 ここで「手の一振りで切り離した」と書かれている。ワームテールは自分の杖を持っていないのだ。前章でセドリックを殺したときは、おそら…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第33章後半)

ワームテールに銀の手を与えたヴォルデモートは「貴様の忠誠心が二度と揺るがぬよう」と言っている。 彼がワームテールを信用していないことが、このせりふからも読み取れる。彼が他人を信用するような人間でないことは、「謎のプリンス」の孤児院の場面でよ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第33章前半)

大鍋から外へ出たヴォルデモートは、まず自分の体を調べた。 これは当然だろう。13年ぶりに体を取り戻したのだから。ここで描写される「蒼白い長い指」は、このあと何度も出てきて、ハリーがヴォルデモートの心に入り込むときの目印になる。 自分の体の点検…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第32章)

優勝杯はハリーもセドリックも知らないうちに、ポートキーに変えられていた。 ハリーたちだけじゃない。ムーディに化けたクラウチJr.以外、誰も知らなかったのだ。 ふたりは見知らぬ場所にいた。「堂々とした古い館が立っている」と書かれているのは、リドル…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第31章後半)

夕食後、第三の試合が始まった。 第二の試合は湖の中、第三の試合は陸上だが夜。どうして試合を見る人が見づらい場所、見づらい時間帯にやるのだろうか? この理由はわからない。ストーリーの都合だろうか? でも第三の課題である迷路は、べつに昼間でもかま…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第31章前半)

校長室のペンシーブで見たことを、ハリーはロンとハーマイオニーに話し、シリウスにも報告した。 ハリーはしあわせな人間だと思う。もちろん、ヴォルデモートや記憶のトム・リドルにつけねらわれたことや、身に覚えはないのに炎のゴブレットから名前が出てき…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第30章後半)

ペンシーブの中で過去の裁判を見ていたハリーは、突然ダンブルドアに声をかけられて驚く。 記憶の中のダンブルドアに加えて、現実のダンブルドアがそばにいた。 ダンブルドアはハリーのひじをかかえた。身体が空中をのぼっていく感じがして、次にゆっくり宙…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第30章前半)

校長室の扉の外にハリーがいることを、ムーディは魔法の目で見つけて、ダンブルドアに知らせた。 ハリーは中に入った。部屋の中には、ふたりのほかにファッジ大臣がいた。クラウチ氏がホグワーツ校内に現れたことについて、三人で話していたようだ。 ファッ…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第29章)

クラムが襲われた夜、ハリーは談話室へ戻ってロンとハーマイオニーにそれを報告した。そして朝早く、3人そろってふくろう小屋へやってきた。シリウスに事件を知らせるためだ。 昨夜ダンブルドアが「ふくろう便を送りたくても送るな。夜が明けるまで待て」と…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第28章後半)

「イースターが終わると夏学期が始まる」と書かれている。 ホグワーツの学年は9月1日に始まる。クリスマス休暇からイースター休暇までが春学期、イースター休暇から夏休みまでが夏学期なのだろう。 5月24日、選手はクィディッチ競技場に集められる。 競技…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第28章前半)

土曜日のホグズミード行きの次の日、3人は厨房へ行った。鰓昆布のお礼として、ドビーに靴下をプレゼントするためだった。 ロンは「この間のエクレア、もうないかなあ」と催促。ロンの食いしん坊ぶりは、どの巻でも折に触れて描写されている。それが「死の秘…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第27章)

第二の課題が無事終わったのは、2月24日だった。 日本だったら、一年中でいちばん寒いときだ。だぶんスコットランドでも同じだろう。なぜそんな時期に湖の中での試合をしたのだろう? 冷たい水を暖かく感じる魔法を使うことも、この課題の一部分だったのだ…