ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第29章)

クラムが襲われた夜、ハリーは談話室へ戻ってロンとハーマイオニーにそれを報告した。そして朝早く、3人そろってふくろう小屋へやってきた。シリウスに事件を知らせるためだ。
昨夜ダンブルドアが「ふくろう便を送りたくても送るな。夜が明けるまで待て」と言ったのはなぜだろうか。ダンブルドアが説明する前にハリーから事件を聞いてしまったら、向こう見ずなシリウスが何をするかわからない、と心配したのかもしれない。

ふくろう小屋にフレッドとジョージがやってくる。何かこそこそ相談しながら。ふたりはルードから掛け金をとりたてたい、駄目なら元金だけでも返してもらいたいと交渉していたことが、後になってわかる。

3人はムーディーに会いに行き、昨夜のその後を聞くが、クラウチは見つからなかったという答えしか得られなかった。あとで考えれば、ムーディが本当のことを言うわけはなかったのだが。
ここで疑問がひとつ。クラウチはこの時点で殺されている。死体は地図に現れないのだろうか? 仮に現れたとしても、今地図はムーディに取り上げられて、ハリーの手元にはない。

それから何日か、3人で呪文の本を調べたり、練習をしたりした。ここで「妨害の呪い」という呪文が出てくる。「あなたを襲う物のスピードを遅くします」という説明が書かれているらしい。

ある日、トレローニーの授業に行くと、部屋がカーテンで囲まれて蒸し風呂のようだったので、ハリーは窓を少し開け、風を入れた。あとで考えれば、この時窓の外にリータ・スキーターがいたのだ。
授業中なのにハリーは居眠りをして、夢を見る。このときはワシミミズクの背に乗って飛び、見知らぬ館の窓から中に入る。ひじかけ椅子から、甲高い声が聞こえる。第1章に出てくるのと同じ声には違いないが、ひじかけ椅子も同じ物だろうか。同じだとしたら、ヴォルデモートはまだリドルの館にとどまっているのだ。それとも、とっくにリドルの館は引き払ってクラウチ邸にいるのだろうか?
「貴様はしくじったが、すべてが台無しにはならなかった」とヴォルデモートが言っているのは、クラウチ氏のことだろう。クラウチ氏を見張る役のピーターが彼を逃がしてしまい、クラウチJr. がなんとか後始末をつけた。そのことをピーターが責められているのをハリーは見たのだ。

目を覚ましたハリーは、自分が額の傷を押さえてころげまわっていたことを知る。医務室へ行くと言って部屋を飛び出し、このことを報告するために校長室へ行った。
校長室の中からファッジ大臣の声がした。ムーディもいる。ドアを見通せるムーディの目が、扉の外にハリーがいることに気づく。