ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第5章前半)
シリウスの説明で、ここがシリウスの両親の家であること、シリウスがブラック家の最後の生き残りであること、この家が「不死鳥の騎士団」の本部として使われていることがわかる。
厨房(この訳語、気に入らないが)に入ると、アーサー・ウィーズリーがいた。この人も単純な性格だが、シリウスのように身勝手ではない。
マンダンガスが厨房の隅で、ぼろ布のようなものにくるまっていた。
会議が終わって解散したばかりのはずだが、マンダンガスは会議に加わらず寝ていたらしい。ハリーの護衛を途中で放り出した前科もあるし、ふだんから騎士団の仲間に信用されていないのだろう。「パイプを口につっこみ、杖で火をつけ、深く吸い込んだ」と書かれているから、魔法界にも麻薬はあるらしい。
シリウスのせりふからすると、マンダンガスは小悪党で、決して正義の味方ではない。ただ、ならず者仲間のことをよく知っていて、情報源として役に立つのだろう。
ダンブルドアはあちこちに情報源を持っていて、マンダンガスもそのひとりなのだろう。
「まもなく、ウィーズリーおじさんの指揮下で、大きな包丁が何丁も勝手に肉や野菜を刻み始めた」と書かれている。
料理があっという間にできるような魔法はないのだろう。材料を切ったり煮たりの手順はマグルと同じなのだ。それぞれの段階の作業は魔法で省力化できるだけだ。
ホグワーツの厨房でおおぜいの屋敷妖精が働いていたのもうなずける。
シリウスは、ハリーがディメンターに出会ったことを「君がなんで文句を言うのかわからない」と言い出す。自分なら、ディメンターとの命がけの戦いを歓迎すると。
その気持はわかるが、この場面では、まず「大変だったね」とハリーをねぎらい、そのあとで自分の不満を話すべきだろう。でも実際はハリーの方が「少なくとも、何が起きているかは知っていたでしょう?」と励まそうとしている。どっちがおとなかわからない。
原作者は、シリウスが精神的に幼いことを随所で描写している。
マンダンガスの話から、彼の小悪党ぶりがわかる。
本筋にまったく関係がないが、ここでハリーのズボンがダドリーのお下がりだと書かれている。
ホグワーツ入学前はともかく、今のハリーはお金に困っていない。ズボンぐらい買えるはずなのに、なぜお下がりを着ているのだろう?