ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第4章後半)
この物語全体で、名がわかっている屋敷妖精は4人。
すでにおなじみのドビー、「炎のゴブレット」だけに登場するウィンキー、そしてこの巻で登場するクリーチャー。あとひとりは「謎のプリンス」に出てくるホキーだ。4人とも、魔法使いが屋敷妖精を見下していることがよくわかるエピソードの持ち主であり、ハーマイオニーの正義感を読者によくわからせる存在でもある。
ハリーはこの屋敷に、クリーチャーという名の屋敷妖精がいることを知るが、クリーチャーの悪口を言うロンと、それをかばうハーマイオニーとの言い合いをさっそく聞かされる。
ここでトンクスが傘立てにつまづく。トンクスはうっかりやで、よく物を倒すという設定なのだ。それで闇払いになれたのは不思議だが。
トンクスが倒れたとたん、恐ろしい叫び声がした。
カーテンがかかっていて、扉に見えた場所に、黒い帽子を来た老女の肖像画があった。あとでわかるが、シリウスの母だった。彼女のファーストネームは物語に登場しないのだが、映画の中の系図作成のために原作者が提供した資料によれば、ヴァルブルガという名前だ。
カーテンが閉まると肖像画の声が聞こえなくなる、ということは、ここにしか書かれていない。
また、カーテンを閉めるのに魔法でなく物理的な力が必要というのはちょっと変だ。ダンブルドアなら、杖を向けるだけでカーテンが閉まるのだろうか。
この肖像画については、どなったりののしったりする描写しかない。でもハリーが知らないところでは、クリーチャーとおだやかに会話をしているのかもしれない。
「どうやら、わたしの母親に会ったようだね」
そう言われてもまだ、ハリーにはこの屋敷が誰のものなのか、飲み込めないでいた。ま、無理もないことだけれど。