ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第5章後半)

食事が終わり、モリーが「もう寝ましょう」と言った。そのまま解散していれば、おだやかな夜になるはずだった。そうならなかったのは、シリウスのひとことがきっかけだった。
「いいか、君にはおどろいたよ。ここに着いたとき、君は真っ先にヴォルデモートのことを聞くと思っていたんだが」
自分たちは未成年だから、会議の内容は教えてもらえないというロンとハーマイオニーの説明で、ハリーはいったん納得していたのだ。しかしシリウスのひとことは、ハリーだけでなく他のウィーズリー家のこどもたちも巻き込んだ論争を引き起こしてしまう。
ハリーはヴォルデモートのことを聞きたい。ウィーズリーのきょうだいたちは、ハリーだけが説明を受けるのはがまんできない。これに関して、モリー・ウィーズリーとシリウスが鋭く対立する。
ルーピンが、興奮するふたりを落ち着かせようとする。
この場面は、それぞれの性格がうまく描写されている。そして、騎士団が決して一枚岩ではないことも、容赦なく示されている。

ヴォルデモートがどこで何をしているのか、騎士団も知らないようだった。
ただ、ヴォルデモートが何も事件を起こしていないのは、自分に注意を向けたくないからだと、シリウスとルーピンが説明する。ヴォルデモートは誰にも知られず復活するつもりだったが、ハリーが目撃者として生き残ってしまった。それに、魔法省はヴォルデモートの復活を認めていない。ファッジはダンブルドアがうそをついていると思い、批判している。ダンブルドアはいくつかのポストを、投票で降ろされた。
「投票で」というひとことに、魔法界の世論の状況が表れている。

シリウスが「ヴォルデモートが求めているものがある。武器のようなものだ」と言い出したとき、モリーとルーピンが、シリウスを止める。それ以上話す必要はないと。
それがトレローニーの予言のことだとわかるのは、この巻のラスト近くになってからだ。