ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第12章前半)

城に着いたハリーたちは、雨にずぶぬれのまま大広間に入った。
魔法であれだけいろいろなことができるのに、濡れた服を乾かす呪文はないのだろうか?

「…スリザリン、レイブンクロー、ハッフルパフのテーブルを通り過ぎ、大広間の一番奥にあるテーブルで、他のグリフィンドール生といっしょに座った」と書かれている。テーブルの位置については「賢者の石」にも記述があったが、ここがいちばん明確だ。

組分け帽子が歌う前に、ロンが「ああ、早くしてくれ」「僕、ヒッポグリフだって食っちゃう気分」と言う。ロンの食いしん坊ぶりはあちこちに出てくるが、ここもそうだ。ひょろりと背の高いロンは、やせの大食いタイプなのだろうか。

帽子の歌が始まった。
一年生の時に聞いた歌と違うことに、ハリーは気がつく。
二年生の時はロンと車を飛ばして暴れ柳にぶつかったことで説教をくらい、組分け儀式を見ることができなかった。三年生の時にはディメンターに襲われ、心配したマクゴナガル先生が自分の事務室へハリーを呼び、マダム・ポンフリーもやってきた。なお、このとき組分け儀式をやったのはフリットウィック先生だった。
そんなわけで、3年ぶりに帽子の歌を聞いたハリーだったが、ロンは三年生のときに組分け儀式にいたので、毎年歌が違うことを知っていたのだ。
そしてこの年の歌で、四つの寮の創始者が帽子に魔力をふきこみ、それぞれが好む資質の生徒を選ぶようになったことがわかる。

コリン・クリービーの弟、デニス・クリービーが一年生の生徒の中にいた。
マグル生まれの兄弟が、ふたりとも魔法使いでよかったと思う。もしどちらかだけが魔法力を持っていたら、リリーとペチュニアのような葛藤が起こったかもしれない。

ほとんど首なしニックとのやりとりから、ホグワーツ城で屋敷妖精が働いているとわかる。
「イギリスのどの屋敷よりも大勢いるでしょうな。百人以上」とニックが言う。マルフォイ家の屋敷妖精はおそらくドビーひとり、そしてクラウチ家もウィンキーひとりと思われる。百人以上もいるのは珍しいのだろう。それだけの屋敷妖精がいるのに、ハリーたちはひとりも見たことがない。
あとでわかるが、大広間の地下には広い厨房があり、そこで屋敷妖精たちがごちそうを作っているのだ。いつもテーブルの上に突然料理が出現するのは、地下からテレポートさせているからなのだ。

ハーマイオニーはショックを受ける。
クラウチ氏のウィンキーに対する冷酷な仕打ちに怒っていたハーマイオニーだから、屋敷妖精たちが給料も年休もなしで働いていると聞いて、もう一口も食べようとしない。
ハーマイオニーの反応も極端だが、ここでのロンの態度はそうとう不愉快だ。彼女は真剣なのに、ロンは彼女をからかうことしか考えていない。

そして、ムーディの登場、三大魔法学校対抗試合の話へと場面は進んでいく。