ハリー・ポッターと賢者の石 第4章

この章のタイトルは「鍵の番人」となっている。
たしかに鍵は出てくるが、ハグリッドは実質的に鍵を守っているわけではなさそうで、ちょっと不自然に感じる。原文は The Keeper of the Keys だが、ローリングさんはだじゃれのためだけに不自然な章タイトルをつけたんだろうか?

この章でハリーは初めてハグリッドに会う。ハグリッドの方は(読者も)赤ん坊のハリーを記憶しているが、ハリーにとっては初対面だ。
「あんた父さんそっくりだ。でも目は母さんの目だ」というハグリッドのせりふ。今後ハリーは同じせりふをいろんな人から聞かされる。目が母親にそっくりだというこの設定が、「死の秘宝」の叫びの屋敷の場面(映画ではボート小屋)でみごとに生きてくるとは!

ハリーはここでハグリッドから、自分が魔法使いだと聞かされ、やっと手紙を読む。それは、ホグワーツに入学を許可されたこと、新学期が9月1日に始まることを知らせる手紙だった。
この手紙、日本語訳では枠で囲ってあるが、原文はフォントが地の文と違うだけで枠などはない。翻訳者はあまり勝手なことをしないでほしい。
ここでハグリッドはダンブルドアに報告の手紙を書き、ポケットに入れていたふくろうにくわえさせて放す。この場面で、魔法使いが手紙をふくろうに運ばせること、魔法使いが羽根ペンと羊皮紙を使っていることをハリーは(読者も)知る。舞台が現代でありながら、中世の雰囲気を持っているのが魔法界なのだ。

チュニアとバーノンは、ハリーが魔法使いだということを知っていて、今までハリーに言わなかった。ペチュニアの妹にもこんな手紙が来たと、ペチュニアは話す。妹のリリーに手紙が来たとき、両親は喜んだと。「休みで帰って来る時にゃ(中略)コップをねずみに変えちまうし」とペチュニアは言っているが、未成年は学校の外で魔法を使ってはいけないはず。「死の秘宝」16章によるとリリーは1月生まれなので、6年生と7年生の間の夏休みのことだったのかもしれない。

ハリーは、ハグリッドから両親の死の事情やヴォルデモートのことを聞かされる。ヴォルデモートの名を口にすることさえみんなが恐れていること、両親が主席だったこと、ヴォルデモートがハリーを殺そうとして自分が消えてしまったこと、ハリーが魔法界で有名なこと。
バーノンがダンブルドアのことを「まぬけのきちがいじじい」と言っている。バーノンはダンブルドアが老人であることまで知っているのだ。おそらくペチュニアから聞いたのだろう。

ハグリッドのせりふ「十年前のハロウィーン」から、ハリーの両親がおそわれて死んだのが10月31日だとわかる(具体的な年代はまだわからない)。その時ハリーが1歳だったことも、ハグリッドのせりふにある。

ハグリッドが3年生の時に退学になったことも語られる。退学の理由がわかるのは「秘密の部屋」に入ってからだ。