ハリー・ポッターと賢者の石 第5章(後半)

パブ「漏れ鍋」の中庭は、ダイアゴン横町への入り口になる。レンガの壁の特定の場所をたたくと、壁に穴が開いて横町へ入れる。魔法界独特のいろいろな店がある。ここでニンバス2000が展示されていることがちらっと出てくる。

ハリーとハグリッドはグリンゴッツへやってくる。
グリンゴッツを運営している「小鬼」は、トロールやドラゴンと同じくヨーロッパの説話に出てくる存在のようだ。
ふたりを案内してくれる小鬼はグリップフックという名前だが、彼は「死の秘宝」で重要人物のひとりとして再登場する。

グリンゴッツの金庫の前で、ハグリッドは魔法界の貨幣を説明する。17シックルが1ガリオン、1シックルは29クヌート。なぜこんな半端な数字なのだろう。単に、マグル世界と違う雰囲気を出したかっただけか? 17と29がどちらも素数だということは意図的なのか?

話は横道にそれるが、日本円に換算してみよう。
ホグワーツの教科書という設定の本「幻の動物とその生息地」は、定価が14シックル3クヌートと書かれていて、日本では900円(本体価格)で売られていた。
レートの変動や輸入関税はとりあえず無視し、翻訳のコストだけを上乗せして、14シックル3クヌートを800円に相当すると仮定してみる。すると1クヌートは約2円、1シックルは約57円、1ガリオンは約960円ということになる。7ガリオンの杖は7000円弱。
以上が計算の結果だが、小説の描写に比べて安すぎる気がする。1ガリオンは1万円ぐらい、というのが小説を読んだ実感である。

グリンゴッツを出たあと、ハリーは制服を買うため洋装店に入り、そこでドラコと会う。初対面の時からハリーにとって、ドラコの印象はよくない。
教科書を買い、ハグリッドにふくろうを買ってもらい、最後にオリバンダーの店に行く。ここでも「お母さんと同じ目」と言われるハリー。そして、「名前を言ってはいけないあの人」のイチイの木の杖が、ハリーを選んだ杖と兄弟だとわかる。

「悪の道に走った魔法使いや魔女は、みんなスリザリンの出身だ」
ハグリッドのせりふだが、映画ではロンが言うらしい。
ところで、「魔法使いと魔女」といういいまわしが何度もでてくるのは目障りだ。「魔法使い」だけで十分なのに。まるで中学生がたどたどしく直訳しているような印象を受ける。

この章の最後に「瞬きをしたとたん、ハグリッドの姿は消えていた」とある。
3年生で退学になった彼に、姿くらましは無理だろう。この時ハグリッドは、ダンブルドアから透明マントを借りていたのではないだろうか。