ハリー・ポッターと賢者の石 第10章

三頭犬に出くわした冒険の翌日、マクゴナガルからハリーにニンバス2000が贈られる。
ハグリッドといっしょにダイアゴン横町に行った時、店に飾られていたほうきだ。あの時のハリーは、まだこのほうきの価値をよく知らなかった。
ニンバス2000を受け取った夜、ハリーはクィディッチ競技場へ出かけ、オリバー・ウッドからルールの説明を受ける。ここでウッドがスニッチを手でさわる記述があり、「死の秘宝」に出てくる「スニッチは肉の記憶を持っている」という説明と矛盾するという疑問を時折ネットで見かける。スニッチは試合ごとに新品を使う、というルールをどこかに書いておいてほしかった。
前章でマクゴナガルはチャーリー・ウィーズリーの名を出したが、ウッドもここで「君はチャーリーよりうまくなるかもしれないな。チャーリーだって、ドラゴンを追っかける仕事を始めなかったら…」と言っている。チャーリーもたぶんシーカーで、しかも優秀な選手だったのだろう。

そして、ハロウィーンの日が来た。
みんなが夕食の席についた時、クィレルが走り込んで来て、地下室にトロールが侵入したと知らせ、その場で気を失う。ここを読んでいる時は何とも思わなかったが、あとになってみると変だ。「わたしはトロールについて特別な才能がある」と、第17章でクィレル自身が言っているのだから。クィレルがトロールをあやつれることや、賢者の石を守るためにクィレルがトロールを配置したことを、ほかの教師は知らなかったのだろうか。ダンブルドアだけは知っていたというなら、この時のクィレルの芝居も見破ったはずだが。

仲間はずれになってトイレにこもっていたハーマイオニーは、トロールの侵入を知らない。それに気づいたハリーとロンは、ハーマイオニーを助けに行く。さすがにイギリスの男の子だ、騎士道精神を持っている、と感心したが、なぜ教師に言わなかったのかという疑問は残る。ま、マルフォイとの決闘(わなだったが)の時にも勝手な行動をとったし、教師に相談するべき場合でも勝手な行動をとるのがハリーとロンの性格なんだろう。
この事件をきっかけに、いがみあっていたハーマイオニーと仲良くなるというのは不自然じゃない。そして、このことが、今後のハーマイオニーの運命まで変えてしまう。トロール事件がなかったら、ハーマイオニーはヴォルデモートに関わることなく、優秀な魔女として平穏にホグワーツを卒業しただろう。死を覚悟して両親の記憶を書き換えるという悲壮な行動も、必要なかったはずだ。