ハリー・ポッターと秘密の部屋 第8章(前半)

この章は「十月がやってきた」で始まる。前の章から1ヶ月足らずの日数がたっているのだ。
「風邪が流行しだした」「ジニー・ウィーズリーはこのところずっと具合が悪そうだったので…」という記述が最初のページにある。ここだけ読むと、ジニーが風邪をうつされたとしか思えない。しかしこの巻を最後まで読んでからここへ戻ると、リドルの日記がすでにジニーから少しずつエネルギーを奪っていたのだろうと推測できる。原作者はそのつもりで書いているはずだ

ハリーは学校の廊下を汚したかどで、フィルチの事務所へ連れて行かれる。
ニックが外で、ハリーのためにピーブズをたきつけ、ピーブズが騒ぎを起こしたのでフィルチは飛び出していく。ハリーは机の上に封筒を見つける。それは、魔法通信講座の案内だった。
通信講座で魔法が上達するのだろうかとちょっと不思議に思ったが、ハーマイオニーが本の知識だけでかなりの魔法を身につけたことを考えたら、可能なのだろう。
ただ、あとでわかるが、生まれつき魔法力のない者はいくら通信講座で勉強しても駄目らしい。

ニックに恩を感じたハリーは、「絶命日パーティー」に出席すると約束してしまう。
他の生徒たちが大広間でハロウィンのごちそうを食べているのに、ハリーたち3人は、絶命日パーティーで腐った魚やウジがわいた肉を眺めることになる。ゴーストたちは、強いにおいの食べ物を通り抜けることで、それを味わうらしい。「ハギス」という料理が登場するが、初耳だったので辞書のお世話になる。
haggisをひくと「刻んだ羊や子牛の臓物を胃袋に入れて煮込んだ料理」とあった。

墓石の形をしたケーキに「ニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿 1492年10月31日没」と書かれている。ニックが出席を頼んだ時に「私の500回目の絶命日」と言っていた。死んだ日を1回目と数えるのなら、今は1991年ということになる。ハリーは今12歳だから、ハリーは1979年生まれという計算だ。
しかし「死の秘宝」には、ハリーの両親の死が1981年10月31日だったと書かれている。この時ハリーは1歳だったはずだから、1980年生まれでなくてはおかしい。
「500回目の絶命日」は、ニックが死んだ年の翌年を1回目と数えるのが正しいのだろう。

このパーティーで、ハリーは、嘆きのマートルと知り合う。マートルは「炎のゴブレット」でも「謎のプリンス」でも、ストーリーに少しからんでくるゴーストだ。バジリスクの最初の犠牲者だったことがわかるのは、第15章の終わりになってからだ。

この章で、ちょっと不思議なことがある。
「賢者の石」でハグリッドが初めてハリーに会った時、ハグリッドは、ハリーの両親がハロウィンの夜に殺されたと言っていた。そして、ニックもハロウィンに首を切られたから、この日が絶命日パーティーになっているはずだ。
ハリーはなぜ、絶命日パーティーで両親のことを思い出さないのだろうか? みぞの鏡に映る両親に、あれほど夢中になっていたのに。