ハリー・ポッターと秘密の部屋 第10章(後半)

クィディッチの試合の日の描写は「土曜日の朝、ハリーは早々と目が覚めて…」で始まっている。
何月かは書かれていないが、「賢者の石」11章で、11月にクィディッチシーズンが到来したと書かれているので、この年も11月だろう。
審判は昨年の初試合同様、フーチ先生だ。この先生、映画では「賢者の石」にしか出てこないそうだ。

試合が始まるとすぐにハリーは異常を感じる。ブラッジャーがハリーばかり狙ってくるのだ。ジョージとフレッドがブラッジャーを打ち返してくれるが、すぐに向きを変えてハリーの方に飛んでくる。
ジョージがウッドに合図を送り、ウッドはタイムアウトを要求する。試合は一時停止されるが、ハリーはこのまま試合を続けることを主張する。アリシア・スピネットが「調査を依頼しましょうよ」と言うのだが、「今中止したら、没収試合になる。たかが狂ったブラッジャー一個のせいで、スリザリンに負けられるか!」がハリーの答えだ。
ハリーは時々こういう態度をとる。彼には「今」のこと、そして「自分」のことしか考えられない。今スリザリンに負けたくないというだけの理由で、自分を殺すかもしれないブラッジャーを調べることは後回しというのは、あまりに軽はずみだ。勇気はあるかもしれないが、思慮のない子だと思う。

ブラッジャーがハリーの右腕を折るが、左手でスニッチをつかむ。試合終了。
しかしロックハートが、治療と称して右腕の骨を消してしまう。
コリンが近づいてきてハリーの写真を撮る。こんな時に写真とは失礼すぎると思ったが、あとでコリンが襲われたとき、ハリーが疑われる伏線だった。

医務室に行ったハリーに、マダム・ポンフリーが言う。
「骨折ならあっという間に治せますが、骨を元通りに生やすとなると…」
魔法界では、骨折は簡単に直るらしい。だいぶ先の話だが、「死の秘宝」ではテッド・トンクスがハリーの骨と歯を治してくれる。
そして、骨を一瞬で消すことも、それを再生させることもできるのだ。医務室に骨生え薬が常備してあったということは、今までにもこの薬が必要な事態があったのだろう。生徒が呪文に失敗するとか。

真夜中、ドビーがやってくる。
9と4分の3番線の壁をふさいだのはドビーだった。ブラッジャーに細工をしたのもドビーだった。ここは危険だから家に帰ってほしいとドビーは懇願する。

そこへ、石にされたコリン・クリービーが、ダンブルドアとマクゴナガルに運び込まれてくる。このふたりは城に寝泊まりしているらしい。詳しい記述はどこにもないが、他の教師たちもホグワーツに住み込みで働いているのだろう。みんな独身か? それとも単身赴任?

ダンブルドアが「秘密の部屋がふたたび開かれた」と言う。
「いったい誰が?」と問うマクゴナガルに、ダンブルドアは「誰がという問題ではないのじゃ」「問題は、どうやってじゃよ…」とつぶやく。
この時、ダンブルドアにはどこまで真相がわかっていたのだろう。
ヴォルデモートが秘密の部屋を開けたことは察したに違いないが、ジニーが利用されていることまでは知らなかったのではないか。