ハリー・ポッターと秘密の部屋 第16章(後半)
ハリーもロンも、ロックハートが無能教師だとうすうすわかっていた。
特にロンは、第6章の終わりでハーマイオニーがロックハートをほめた時、「ご本人はやったとおっしゃいますがね」と、ロックハートの著書を疑う言い方をしている。ハーマイオニーに無意識の好意を抱いているロンの嫉妬が言わせたせりふではあるけれど。
ところが、ロックハートは逃げる用意をしていた。
自分の本が売れるのは、ハンサムな自分が書いているからだ、とロックハートは言う。同じ活躍をしても、その人がみにくい容貌だったら本は半分も売れなかっただろうと。
(初版に差別表現があり、文章ひとつがまるまる消えたのはこの部分)
ロックハートは、すばらしい活躍をした人を探し出し、話を聞いたあとその人に忘却術をかけて、自分の手柄のように本に書いていたのだ。
ハリーとロンはロックハートをひったてて、マートルがいるトイレにやってくる。ハリーに質問され、マートルはこのトイレで死んだと話す。男の声で外国語が聞こえ、大きな目玉がふたつ見えたと。マートルが外国語と思ったのは蛇語だった。マートルはバジリスクの目を見たために命をおとしたのだ。
マートルが目玉のあった場所を示す。ハリーが蛇語で「開け」と言うと、手洗い台が下へずれ、太いパイプがむき出しになった。
決闘クラブの時は、ハリーはふつうに英語を話しているつもりで蛇語をしゃべっていた。おそらく、「賢者の石」の動物園でもそうだったのだろう。しかしここでは「言ったはずのことばは聞こえてこなかった。かわりに奇妙なシューシューという音が、口から出た」と書かれている。蛇語だと意識することで、英語と区別がつくものらしい。
3人は中へ入る。下へ下へとパイプの中を落ちて、3人はやっとパイプが水平になっているところへ着き、さらに進んでいく。
この場面のために、暴れ柳に杖を折られたり、ドラコにかけようとしたナメクジげっぷの呪いが自分にかかったりする伏線があったのだ。ロンよ、ごくろうさん。
通路がくずれて、ロンとロックハートが先へ行けなくなり、ハリーはただひとり進む。そして、秘密の部屋へ入っていく。