ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第9章前半)

まず、第8章への追記。
オリバー・ウッドがプロ入りすると書いたが、その情報は「炎のゴブレット」7章のワールドカップの場面にある。パドルミア・ユナイテッドと二軍入りの契約を交わしたと書かれている。

さて、第9章。
シリウスがグリフィンドール寮の入り口まで侵入し、太った婦人に危害を加えようとしたことから、安全のため生徒全員が大広間に集められる。ダンブルドアは杖の一振りで「何百個ものふかふかした紫色の寝袋」を出す。
魔法では、無から有を生じることができるのだろうか。何もないところから寝袋を出せるのか? もしそれができるのなら、「炎のゴブレット」でモリーはロンのために新しいドレスローブを出せたはずではないのか。いや、そもそも、「マダム・マルキンの洋装店」で魔法使いたちがローブを買う必要がなくなってしまう。洋服は出せないが寝袋は出せるというのも筋が通らないし… 寝袋は、校内の倉庫にあったものを大広間へ瞬間移動させたのだと解釈しておこう。

「ブラックが今夜を選んでやってきたのはラッキーだったわ」とハーマイオニーシリウスがやってきた夜がたまたまハロウィンで、誰も寮にいなかっただけだと、ハーマイオニーだけでなくロンもハリーも考えていた。シリウスの狙いがハリーだと思い込んでいたからだ。実際にはシリウスが狙ったのはスキャバーズで、寮に人がいない時間帯こそねらいめだったわけだが。
この時の会話の中で、「ホグワーツでは姿くらましと姿あらわしもできない」ということが判明する。
ホグワーツの歴史」という本に書いてあるのだが、その本を読んでいたのはハーマイオニーだけだったらしい。
物語全体を通じて「魔法界のことをまったく知らないハリー」「魔法界の常識はあるが、知識はそれほど豊富じゃないロン」「本に書いてあることなら何でも知っているハーマイオニー」の組み合わせがおもしろい効果を出している。

ダンブルドアとパーシーの会話でダンブルドアが「婦人はまだ非常に動転しておるが、落ち着いてきたらフィルチに言って婦人を修復させようぞ」と言っている。生徒たちからは嫌われているフィルチだが、絵の修復にはすぐれた腕を持っているのだろう。
そして、スネイプとダンブルドアの謎の会話。あとでわかるが、スネイプはルーピンを疑っているし、この疑いにはじゅうぶんな根拠がある。少なくとも、この時点では。

太った婦人の代わりにはカドガン卿の肖像画が置かれた。
マクゴナガル先生は、ハリーがクィディッチの練習をすることを危険だと思い、フーチ先生を見張りにつけることにする。