ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第17章後半)

第9章、ルーピンの代わりにスネイプが「闇の魔術に対する防衛術」の授業をした時、テーマに人狼をとりあげ、人狼についてのレポートを宿題にした。あとでルーピンがその宿題を取り消したので、とりくんだのはハーマイオニーだけだったらしい。その時ハーマイオニーはルーピンの秘密を推測した。12章でハーマイオニーがそれをほのめかした時、ロンは彼女が知ったかぶりをしていると思ったが、そうではなかったのだ。
「先生は、その人とグルなんだわ!」「私、誰にも言わなかったのに」とハーマイオニーが叫ぶ。そのあと、ハリーたち3人とルーピンとのやりとりは噛み合わない。シリウスは今まで怪しい行動しかしていないし、そのシリウスと抱き合っているルーピンも怪しく見えてあたりまえだ。ただここで、ルーピンが狼人間であることが、彼への疑いをより強めているのが悲しい。

ここでのルーピンの話から、教師は全員彼が狼人間だと知っていること、ルーピンの採用を説得するのにダンブルドアが苦労した相手もいたことがわかる。
ルーピン採用に反対した「何人かの先生」とは誰だろう? トレローニーはおそらく反対しただろう。ケンタウルスを差別的な目で見ていた彼女だから。あとはわからない。そもそも、教師全部が物語に登場しているわけではない。チャリティー・バーベッジなんか、学校の場面では一度も登場せず第7巻でいきなり殺されるのだから。

忍びの地図を調べていてハリーたちがここにいるのがわかった、というルーピンに、ハリーは疑わしげに尋ねる。「地図の使い方を知ってるの?」
この質問はおかしい。おかしいというより、ハリーが間抜けすぎる。ルーピンがこの地図を没収した時、何も書かれていないこの紙をルーピンは地図だと言い当てたし、フィルチがこれを没収したことも知っていた。使い方を知っていてもなんの不思議もない。
わたしはムーニーだ、とルーピンは言った。地図に名前が現れる4人のうちのひとりだ。

ネズミを見せてくれ、というルーピンのことばに、ロンはためらいながらスキャバーズをローブのポケットから出す。「こいつは魔法使いだ」とルーピン。「動物もどきだ。名前はピーター・ペティグリュー」とブラック。
ルーピンは忍びの地図にピーターの名前を見つけて、叫びの屋敷まで追ってきたのだ。