ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第20章前半)

、翌朝は日曜日だった。ハリーは服を着るとすぐに大広間へ行った。朝食を食べるためではなく、ハーマイオニーを探すためだ。ハリーがハーマイオニーに頼り切っていることが、この時のふるまいでもわかる。
ふたりは校庭へ出た。ハリーはドラゴンを見たことや、シリウスとの会話の内容を話した。

「とにかく、あなたが火曜日の夜も生きているようにしましょう」
「それからカルカロフのことを考えればいいわ」
ハーマイオニーはいつもと変わらず冷静だ。目の前の問題に優先順位をつけて整理できるのは、ハーマイオニーの持つすぐれた能力のひとつだと思う。
あとで考えれば、ハリーがドラゴンに殺される可能性はごく小さいものだった。ハリーがほんとうに危険になればドラゴン使いたちが介入するだろうし、ムーディだって助けにくるだろう。生きたハリーをヴォルデモートのもとに届けることが、ムーディに化けたクラウチJr.の目的だったのだから。

ふたりは図書館にこもって、ドラゴン対策を考えた。
ここで、ハーマイオニーがOWLの模擬試験をやってみたことがチラリと出てくる。ストーリーには関係のないエピソードだが、いかにもハーマイオニーらしい。
しかしクラムが図書室にやってきて、ファンの女子生徒たちが追いかけてくる。ハーマイオニーはファンたちの騒ぎがうるさくてイライラするからと、図書室を出た。
クラムはハーマイオニーと話したくてしょっちゅう図書室へ来ていたのだ。しかし、それをハリーが知るのは、23章になってからだ。ハーマイオニーがそれをいつ知ったのかはわからない。物語は主にハリー視点で書かれているから、ハーマイオニーが知っていてハリーが知らないことは読者にもわからない。

その翌日、ハリーはセドリックに「第一の課題はドラゴンだ。フラーもクラムも知っているはずだ」と告げる。
わたしはハリーを好きではないが(ハーマイオニーは大好きだ)この時のハリーは評価する。全員が同じ条件でなくてはフェアじゃない、と考えたハリーには拍手したい。

この時のハリーとセドリックのやりとりの直後にムーディが出現したところをみると、ムーディはハリーの動向をずっと見張っていたのだろう。
ムーディはハリーを自分の部屋に連れていく。