ハリー・ポッターと炎のゴブレット(第26章前半)

監督生の風呂場へ行った夜にわかったことはふたつ。
まず、第二の課題の内容だ。湖へ行って、水中人に奪われた何かを取り返すこと。
そして、ムーディとスネイプの間にある対立感情だ。ムーディはスネイプに向かって「ダンブルドアはやり直しのチャンスを与える人だ」「しかし、洗っても落ちないシミがあるものだ」と言っていた。
ハリーはこのふたつのことをロンとハーマイオニーに話した。
しかしこの会話が、呪文学の授業中というのがわたしには気に入らない。三人だけでしゃべる機会はいつでもつくれるはず。たとえば食事時間の前後とか。この原作者は授業中に私語をさせるのが好きだが、読んでいて不快になるので、いいかげんにしてほしいと思う。

三人は水の中で呼吸する方法を探すが、なかなか見つからない。
あとでわかるが、フラーとセドリックは「あぶく頭呪文」を使って、水中でも顔のまわりに空気を確保した。クラムは鮫に変身した。人間自身が変身するのは、ハーマイオニーが言っているとおり、まだ習っていないし、中途半端な知識で変身を試みるのは危険だ。でも、あぶく頭の呪文は「不死鳥の騎士団」30章で生徒たちがこぞって使っているから、それほどむずかしい魔法じゃない。なぜハーマイオニーが知らなかったのか、ちょっと不思議だ。ストーリーの都合と言ってしまえばそれまでだけど。

立ち直ったハグリッドは、なぜか一角獣を教材にしていた。ハグリッドが一角獣にも詳しいことがわかった。一角獣の赤ちゃんは金色で、二歳ぐらいで銀色に、四歳ぐらいで角が生える。七歳ぐらいまでは真っ白にならない。赤ん坊のうちは人懐っこく、男の子が近づいてもいやがらない。
ハグリッドは動物に関しての知識はちゃんと持っているのだ。ただ、その知識をどういう順でどういうふうに教えるのがいいか、授業を組み立てる能力がなく、その場その場でおもしろいと思った材料を持ち出す。教師としてはまったくの失格だ。自分自身もよく知らない「尻尾爆発スクリュート」を教材にするなど、もってのほかだと思う。大学の研究室じゃないんだから。

第二の試合の前日、図書館にいた三人のところへフレッドとジョージがやってくる。マクゴナガル先生がロンとハーマイオニーを呼んでいるというのだ。
「談話室で会いましょう」と言って立ち去った二人だが、結局戻ってこなかった。
夜中、ハリーは透明マントをかぶって図書室へ行った。
そう言えば「賢者の石」でもハリーは透明マントを来て図書室へしのびこんだことがあった。マダム・ピンスは図書室に鍵をかけないのだろうか。鍵をかけてもアロホモラの呪文で開けられてしまうから、鍵は無意味とでもいうのだろうか。

ハリーは図書館で本のページをめくりながら眠り込んでしまう。
翌朝、ハリーを起こしたのはドビーだった。あと10分で課題がはじまるという。
棄権するつもりでいたハリーだが、水中人が捕らえたのがロンと聞いておどろく。ドビーはポケットから何かをつまみ出し、湖にはいる前にこれを食べるようにという。そうすれば水の中で息ができるというのだ。
ドビーはムーディとマクゴナガルが話しているのを聞いたのだ。ロンが人質になったことも、鰓昆布のことも。実は偽ムーディが意図的に聞かせたのだったが。

リーは大急ぎで湖へ走る。
かろうじて間に合ったようだ。おそらくハリーが到着する前に、他の選手はこの課題のルールや、誰が誰の人質かなどの説明を聞いていたのだろう。
クラムは水泳パンツ姿だったが、ハリーは靴と靴下だけを脱いで水に入っていった。映画ではハリーも水泳パンツだったが。
ハリーは鰓昆布をかんで飲み込んだ。すると耳のすぐ下に裂け目ができ、急に息が苦しくなった。水に飛び込むとえらを通じて水が流れ込み、楽になった。みずかきまで生えてきた。視界もはっきりする。鰓昆布は水中で呼吸ができるだけでなく、手足や目の機能も水中向きにしてくれるらしい。