ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第9章前半)
ハリーが法廷の外へ出ると、扉のすぐ外にアーサーがいた。
「ダンブルドアは何も言わ…」
「無罪だよ」
このやりとりは納得できない。いや、正確に言えば、このときのダンブルドアの態度は納得できない。
しかし、ここでハリーが無罪になったことを、ひとことアーサーに言ってから去るべきではないか。真剣に心配して、ここまで付き添ってきたアーサーに、何も言わずに去るとはどういうつもりなんだ。
原作者はなんのために、こんな場面をつくったのだろう。
法廷からみんなが出てきた。
アーサーがおどろいて「大法廷で裁かれたのか?」と言ったが、ハリーには意味がよくわかっていない。そもそも魔法界の裁判がどんなものか、ハリーは知らなかったのだから。ただ、普通は未成年の法律違反を裁くのに、こんな大げさな裁判はしないということなのだろう。
ファッジが、アーサーとハリーが「壁の一部であるかのふるまった」という表現はおもしろい。
パーシーとアーサーはお互いを無視して、親子ではないかのような態度だった。
廊下を進むと、ファッジと話をしているルシウスに出会った。
ルシウスとアーサーの嫌みの応酬は、ここだけ読めば、どっちもどっちという気がする。「マグル製品を家にこっそり持ち帰り、それに魔法をかけるような仕事」というルシウスの皮肉は百パーセント当たっているのだから。
ハリーはグリモールド・プレイスに戻った。
ジョージ、フレッド、ジニーも含めて、みんな大喜びだった。
しかし数日たったとき、「ハリーは(中略)自分がホグワーツに帰ることを心底喜んでいない人間がいることに気づかないわけにはいかなかった」と書かれている。
シリウスが露骨に不機嫌なようすを見せるようになったのだ。
ハリーは早く学校にもどりたくてたまらなかった。ハグリッドに会いたい。クィディッチをしたい。このほこりっぽい屋敷を離れたい。
しかしハリーには、シリウスのいるところでそれを口にしないだけの分別があった。そこはほめてやりたい。