ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第12章前半)
新学期のパーティの翌日、シェーマスとディーンは気まずい雰囲気のまま、さっさと寝室を出ていった。
ところで、日刊予言者新聞の記事を、ドラコはどう思っているのだろう? 父親から聞いて、ヴォルデモート復活が事実だと知っているはずだが。
「ヴォルデモート卿は、不和と敵対関係を蔓延させる能力に長けておる。それと戦うには、同じくらい強い友情と信頼の絆を示すしかない」ということばだ。
あのときのダンブルドアは、ボーバトン校やダームストラング校の生徒も含めた聞き手に向かって発言していた。「目的を同じくし、心を開くならば、習慣や言葉の違いは全く問題にはならぬ」と続けていたのだから。しかしもちろん、同じイギリス人どうし、同じホグワーツ生どうしの結束も意味していたはずだ。
ハーマイオニーは「こういうことが、ダンブルドアがおっしゃったことそのものなのよ。例のあの人が戻ってきてまだ二ヶ月なのに、私たちは仲間うちで争いを始めている」と言う。しかしハリーとロンは、自分たちを冷たい目で見る連中と仲良くするのはごめんだとばかり、ハーマイオニーに同意しない。
大広間の朝食のとき、アンジェリーナがやってくる。「ドレッドヘアの髪を長く垂らした黒人の女性」と書かれている。アンジェリーナはハリーが一年生の時から登場していたはずだが、黒人だという記述はここが初めてのような気がする。
アンジェリーナはグリフィンドールのクィディッチチームのキャプテンになったのだ。一昨年までのキャプテンはオリバー・ウッドだった。ウッドが卒業したあとの昨年は、三校対抗試合のためクィディッチの試合がなかった。
ストーリーの都合上しかたがないとはいえ、これはかなり不自然な設定だ。対抗試合があろうがなかろうが、クィディッチチームは活動をしていて、試合はなくても練習は行われるのが自然だろう。何かのスポーツをやっている人たちが、わざわざ一年間ブランクをつくるということは考えられない。クィディッチの不自然なルールも合わせて考えると、原作者はスポーツというものをよく知らないのだろう。
いいキーパーだったからウッドがいなくなった穴は大きい、とハリーとハーマイオニーが話していると、ロンが「だけど、新しい血を入れるのも悪くはないじゃん?」と言う。この時ロンはすでに、自分がキーパーになることを考えていたのだろう。
フレッドとジョージがやってきて、いたずら専門店の話になる。ハリーは双子に資金提供をしたことを隠していたのであせってしまう。
ハリーは話題を変えようと、OWL試験について話し始める。ロンは兄たちから学校のことを聞いているので、ハリーやハーマイオニーより詳しい。五年生ではOWL試験を受け、その結果によって将来のしごとを決める。五年生の後半には進路指導もあるという。それによって、次の年に授業を受けるNEWT課目を選ぶのだと。