ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第15章前半)

パーシーから手紙が届いた翌朝、日刊予言者新聞には、「魔法省、教育改革に乗り出す ドローレス・アンブリッジ、初代高等尋問官に任命」という記事が載った。
この記事を読むと、空席を埋める教師を校長が見つけられなかった場合には魔法省が教師を送れるという省令ができたのは、この年の8月31日だったことがわかる。
この制度でアンブリッジがホグワーツにのりこんだわけだが、今度はさらに「高等尋問官」という、今までに存在しなかったポストにつくことになった。パーシー・ウィーズリーは、魔法大臣下級補佐官という肩書きで、この改革の語り手として記事に登場している。
この記事の最後には、高等尋問官制度の新設に反対する人たちの動きも書かれている。グリゼルダ・マーチバンクスとチベリウス・オグデンだ。ここで名前が出たこのふたりは、あとで実物が登場することになる。

魔法薬の授業で、スネイプは生徒たちのレポートを返しながら、「O.W.L.であればどのような点になるかに基づいて採点してある」と言った。それがきっかけで、授業後に三人はO.W.L試験の点数について話し始める。昼食時にフレッド・ジョージ・リーの三人組が解説してくれて、点数の基準がわかる。
最高点はO(Outstanding)、次がE(Exceeds Expectations)、続いてA(Acceptable)、ここまでが合格。不合格にも段階があって、P(Poor)、D(Dreadfull)、そしてTだという。Tはトロールのことだとジョージは言うが、これがほんとうかどうかはわからない。

昼食後、トレローニーの授業に、アンブリッジが査察に来ていた。アンブリッジは時々クリップボードにメモをとって、質問を始めた。
「あなたがこの職についてから、正確にどのくらいになりますか?」という問いにトレローニーは「かれこれ16年ですわ」と答える。
ハリーはこの時点で、15歳になったばかりだ。あとでわかるが、トレローニーの予言を聞いたダンブルドアが彼女を採用した。すると予言はハリーが生まれる一年近く前になされたことになる。

会話の中で、彼女がカッサンドラ・トレローニーという有名な予見者の曾曾孫だとわかる。
アンブリッジから予言を求められ、トレローニーは「何か恐ろしい危機に陥っている」と予言するが、アンブリッジは信じず、ばかにしたようなせりふを言ってその場を離れた。

その次はアンブリッジの「闇の魔術に対する防衛術」の授業だった。
前回と同じように「教科書を読め」という授業だったが、ハーマイオニーが手をあげた。教科書はもう全部読んだ、というハーマイオニーを試そうと、アンブリッジが「第15章でスリンクハードが何と書いているか言えるでしょうね」と言うと、ハーマイオニーはスラスラと答えた。だがハーマイオニーが自分の意見を付け加えたために、アンブリッジは減点を言い渡した。それに対してハリーが反論し、ハリーはふたたび罰則を受けることになった。ハーマイオニーがその場で止めたのに。いやその前、昼食のときにジョージが「今日はアンブリッジに腹をたてるんじゃないよ」とあらかじめ注意していたのに。