ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第16章後半)

名前がわからなかった生徒たちの名前を、少し先走るが書いておこう。
ハッフルパフの金髪の男子生徒は、ザカリアス・スミスと名乗った。
ハッフルパフの女生徒で、長い三つ編みを一本垂らしているのはスーザン・ボーンズだった。魔法省のアメリア・ボーンズの姪だという。
このふたりについては、ホッグズ・ヘッドの会合の中で名前がわかった。
あとひとり、チョウの友人の女生徒の名前がマリエッタだとわかるのは、18章になってからだ。

ハーマイオニーがまず、会合の説明を始めた。さすがのハーマイオニーも、緊張で声がうわずっていた。
アンブリッジの授業はどうみても「闇の魔術に対する防衛術」とは言えない。だから自分たちで自主的にやろう。
「なぜならヴォルデモート卿が戻ってきたからです」とハーマイオニーが言うと、マリエッタは悲鳴をあげ、他の生徒たちも身震いしたり何かの反応をした。
ここでザカリアス・スミスが「『例のあの人』が戻ってきたっていう証拠がどこにあるんだ?」と言い出す。
「それに、僕たちはその人がなぜ『例のあの人』が戻ってきたなんて言うのか、正確に知る権利があると思うな」
ここで「その人」と訳されている元の単語は he だ。だからハリーのことなのだが、この文脈で「その人」という訳語を使うのは日本語として不自然すぎる。「ハリー」でも「彼」でもいいのに。原文の he がイタリックだからありきたりの訳語を使いたくないというのなら、「そいつ」としておけばいい。

ハーマイオニーが「この会合の目的は、そんなことじゃないはずよ」とザカリアスをさえぎり、ハリーもヴォルデモートの復活について説明することを拒否する。
もしわたしがホグワーツの生徒なら、ザカリアスと同じように、ハリーから具体的なことを聞きたいと思うだろう。ダンブルドアは「セドリックはヴォルデモート卿に殺された」と言ったが、どのように殺されたのかは説明しなかったし、魔法省や日韓予言者新聞はヴォルデモート復活を否定している。どっちが本当かわからない。ヴォルデモートを目撃したというハリーから、納得のいく説明を聞きたいと思うのは当たりまえだ。

スーザン・ボーンズが「守護霊をつくり出せるって、ほんと?」と聞いたのをきっかけに、ハリーがこれまでやってきたことが話題になる。バジリスクを殺したこと、賢者の石を守ったこと、三校対抗試合でさまざまな課題をこなしたこと。
どこに何回集まるかという相談になったが、三寮のクィディッチの練習日を避けるというのは難題だった。どこで集まるのかというのは、さらに難題だった。
場所も日もこの場では決まらず、ハーマイオニーがあとで連絡することになった。

ハーマイオニーは羊皮紙を取り出し、全員に名前を書くように言った。何人かがためらったが、結局全員が署名した。「名前を書けば、アンブリッジにも誰にも言わないと約束したことになります」と。約束を破ったらどうなるかまでを説明しなかったのは、ハーマイオニーにしてはフェアじゃないと思う。

会合が終わり、全員が出ていって三人が残ったとき、マイケル・コーナーが来たのはジニーと付き合っているからだと、ハーマイオニーがもらす。ロンはそれを聞いてカンカンに怒る。
このロンの気持ちが、わたしにはさっぱりわからない。妹にボーイフレンドができたからといって、どうして怒る必要があるのだろう?