ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第23章後半)

クリスマスの朝になった。
クリスマス・プレゼントのあれこれが描写されている。ストーリーに直接関係はないのだが、読んでいるとけっこう楽しい。
そこへフレッドとジョージが、姿あらわしでハリーの部屋に入ってきた。パーシーがセーターを送り返してきたので、モリーが泣いているという。パーシーは自分から家族と縁を切ったのだ。わたしにはパーシーの気持ちがわかる。アーサーがマグル好きの変わり者で、しかもダンブルドアと親しいので、魔法省では窓際族扱いされている。自分はそうはなるまい、と思っているのだ。今の状況の中でなら、パーシーがそう考えるのも無理はないだろう。結果的には間違っていたけれど。

昼食が終わって、みんなでアーサーの面会に病院へ行くことになった。
マンダンガスが、車を一台都合していた。「クリスマスには地下鉄が走っていないからだ」という理由に、わたしは仰天した。でもイギリス人にとっては、あたりまえのことなのだろう。盆や正月には鉄道が増発される日本とは正反対だ。

アーサーがマグルの治療法をためしたことで、モリーと夫婦げんかになり、ハリー・ロン・ハーマイオニー・ジニーは逃げるように部屋を出た。二階の病室から六階の喫茶店へ行こうとして、階段を五階まで登ったところで、入院中のロックハートに出会った。
ロックハートの記憶は戻っていないようだった。そこへ女性癒者がやってくる。
healer を「癒者」と訳すのは適切だと思うのだが、「母親のような顔つきの癒者」というのは日本語として変ではないか? そもそも「母親のような顔つき」という顔つきがあるのだろうか? 「母親のような雰囲気の」の方が日本語としてしっくりくる。原文は motherly-looking なのだし。そして彼女がロックハートのことを言うときの he を「この人」と訳したり「この子」と訳したり、一貫しない。
癒者はハリーたちを、ロックハートの見舞客と思い込んで喜んでいる。そんなわけで4人は隔離病棟の中に入ることになった。

そこにはブロデリック・ボードが入院していた。
ボードの名は「炎のゴブレット」7章にチラリと出てくる。魔法省の神秘部に属している無言者だと、アーサーがキャンプ場で説明するせりふがあった。
癒者はボードの枕元に、プレゼントの鉢植えを持ってくる。この鉢植えが実は「賢者の石」に出てきた「悪魔の罠」だったことは、25章でわかる。

そこへネビルと祖母が現れる。両親を見舞いに来ていたのだ。祖母は「アズカバンの囚人」でボガードが変身したときと同じ服装だった。
事情を知らずに無遠慮に話しかけるロン、おどおどするネビル、そのネビルをたしなめる祖母。
祖母は、ネビルの父母が正気を失うまで拷問されたことや、ふたりが優秀な闇払いだったことを話す。そこへネビルの母アリスがベッドから出てくる。アリスはことばがしゃべれないようで、ガムの包み紙をネビルに渡す。祖母のせりふから、アリスはいつもそうしていることがわかる。
祖母のファーストネームが「オーガスタ」であり、マクゴナガルが彼女をファーストネームで呼んでいるとわかるのは「謎のプリンス」になってからだ。