ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第26章後半)

グリフィンドール寮に戻ると、ハリーは英雄扱いされた。
他の寮ではどうだったのだろう? グリフィンドール寮と同じではなかったと思うが、どの寮でもハリーへの見方が変わったことは確かだろう。

寝室に入り、眠りについたハリーは、ヴォルデモートになった夢を見た。というより、現実のヴォルデモートとまた同期したのだ。
ヴォルデモートはルックウッドと話していた。ルックウッドは、「炎のゴブレット」でペンシーブの中で見た裁判の場面で出てきた名前だ。その時のカルカロフのせりふによれば、彼は神秘部に勤めていた。
そして現在。ヴォルデモートとルックウッドのやりとりから、ヴォルデモートが狙っている「ある物」に関して、「ボードがそれを取り出すことができる」とエイブリーがヴォルデモートに告げたが、それは間違った情報で、ヴォルデモートはそのために何ヶ月も無駄についやしたのだとわかる。今回ルックウッドが正しい情報を知らせたので、ヴォルデモートがルックウッドに礼を言っている。
この場面では、具体的なことがまったくわからないが、35章になって、それが保管された予言であったことがわかる。予言の玉を取り出せるのは、その予言の当事者だけだということも、同じ章でわかる。

翌日、ハリーとロンは、ハーマイオニーに昨夜の夢のことを話した。
ハーマイオニーは、スタージス・ポドモアが魔法省に侵入しようとしてアズカバンに収監された事件(14章)や、ブロデリック・ボードが殺された事件(25章)と、神秘部にある「何か」を結びつけて考える。
しかしハーマイオニーはハリーに、こんな夢を見ないために心を閉じなければ、と説教する。

ある日のスネイプとの授業で、ハリーは今までにない経験をした。スネイプの記憶をのぞくことができたのだ。「鉤鼻の男が、縮こまっている女性を怒鳴りつけ、隅の方で小さな黒い髪の男の子が泣いている」と書かれている。これがスネイプの両親と、こども時代のスネイプなのだろう。あとでわかるけれど、スネイプの母は魔女で、父はマグルなのだ。マグルが魔女にDVをやっていたというのは不自然だと思うが…
スネイプの記憶をのぞけたことで、「ポッター、今のは確実に進歩だ」とスネイプがほめてくれた。この個人授業は、まったく無駄というわけでもなかったようだ。ま、結果的には役に立たなかったのだが。

玄関ホールで騒ぎが聞こえた。スネイプは様子を見に出ていき、ハリーも続いた。
トレローニーとアンブリッジが向き合っていた。アンブリッジがトレローニーを解雇し、城から出ていくようにと言っているのだ。
そこへダンブルドアがやってきて、アンブリッジは教師を解雇する権利を持っているが、城から追い出す権利は持っていないと主張する。トレローニーはむしろ出ていきたいと言うが、ダンブルドアは「わしの願いじゃ。あなたはここに留まるのじゃ」と鋭く言う。予言の当事者であるトレローニーが城の外に出たら、どんな危険がふりかかるかとダンブルドアは心配したのだ。

ダンブルドアは、代わりの教師もすでに見つけていた。
ケンタウルスフィレンツェだった。「賢者の石」ですでに登場している。15章、禁じられた森の場面でハリーを背中に乗せ、仲間のベインを怒らせたケンタウルスだ。
今回も同じ対立が起こっていると、次の章でわかる。