ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第31章後半)

試験の描写のあと「二時間後」と書かれているから、試験は一課目二時間だったことになる。
ハーマイオニーが、問題の答をひとつひとつ確認し始めるのを、ロンがさえぎる。いつものことだ。

昼食後は、同じ呪文学の実技試験だった。
数人ずつ呼ばれ、小部屋に入る。試験が済んだ生徒はこの小部屋に戻らず、別の部屋に行く。当然ではあるが、描写が細かい。
ハーマイオニーといっしょに呼ばれた生徒の姓がゴールドスタイン、ゴイル、グリーングラスだった。呼ばれる順がアルファベットによるのだとわかる。寮は無関係らしい。
ダフネ・グリーングラスはこういうところにチラリとしか名前が出てこないけれど、十九年後にはドラコの義姉になっているのだ。

ハリーといっしょに呼ばれたのは、パンジー・パーキンソンとパチル姉妹だった。
ハリーをテストしたのは、トフティ教授という人だった。浮遊呪文など、いくつかの呪文を実際にやらされた。
次の日は変身術のテストで、やはり午前中筆記試験、午後が実技だった。
水曜日には薬草学、木曜日は「闇の魔術に対する防衛術」と続いた。

「闇の魔術に対する防衛術」のトフティ教授が、「わしの親友のティベリウス・オグデン教授から、君は守護霊を創り出せると聞いたのじゃが? 追加点はどうかな」と言い出した。
検定試験に、追加点というルールがあるなんて! ちょっとびっくりだ。イギリスのリアル世界でも、そういうことが行われているのだろうか?
ハリーは牡鹿の守護霊を出してみせ、賞賛された。
ここでちょっと不思議なのは、ハリーが「アンブリッジがクビになることを想像し」て守護霊を出したと書かれていることだ。守護霊に必要なのは「幸せな思い出」じゃなかったのか? 思い出でなく想像でもいいのか?

金曜日は、ハリーもロンもとっていない課目(古代ルーン語)だったので、一日休み。ハーマイオニーはこの試験を受けた。
次の週の月曜は魔法薬学だった。実技を担当したのはマーチバンクス教授。おもしろいことに、スネイプがからんでいないと、ハリーもネビルもいつもより落ち着いて薬の調合ができた。特にネビルは、祖母の親友であるマーチバンクス教授が試験官なので、あまり緊張しないで済んだに違いない。

火曜日は魔法動物飼育学、水曜日の午前中は天文学の筆記試験、午後は占い学だった。
そして夜11時、天文学の実技が始まった。天文台の塔に登り、望遠鏡で星を観察しながら、テスト用紙に月や星の位置を書き入れるのだ。
試験中、ハグリッドの小屋が視野に入り、五人の人間がハグリッドの小屋に向かうのが見えた。一人はアンブリッジだ。
「あと二十分」とトフティ教授が言ったとき、ハグリッドの小屋の方から大きな音がした。五人がいっせいに杖から赤い光線を放っている。失神させようとしているらしい。
マクゴナガル先生がハグリッドの小屋にかけつけてきた。しかし四つの赤い光線が当たり、マクゴナガルは一瞬体が浮き上がって、その場に倒れた。
ハグリッドは攻撃してくる男たちを投げ飛ばし、失神させられたファングをかついで、校門から走り去った。
生徒たちは試験どころではなくなって、それを見ていた。

次の試験は魔法史で、これは当然ながら筆記試験だけだった。
もともと、ハリーとロンは魔法史の授業をまじめに受けていない。いつもハーマイオニーのノートを見せてもらっている。
知っているわずかなことを書いてしまうと、あとが出てこない。思い出そうとしているうちに、ハリーはまた眠ってしまった。眠ったのではなく、単に頭がからっぽになっただけだったのかもしれない。
ここでハリーはいつも夢に見る、神秘部の廊下にいた。前に見た、ガラス玉がたくさんある部屋に入る。ハリーはヴォルデモートになっている。その杖の先にいる血まみれの男はシリウスだった。
あとでわかるが、これはハリーをおびき出すためにヴォルデモートが見せた幻影だった。

ハリーは叫び声をあげ、椅子から床に落ちた。試験会場の大広間は騒然となった。