ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第34章後半)

ハリーが何度も夢に見た廊下の光景は、ヴォルデモートが見せたものだった。
ヴォルデモートはここへ来て実際に見たのだろうか。それとも、魔法省の中を知る誰かの記憶から、この廊下の外見を知ったのだろうか。
おそらく、神秘部のルックウッドの記憶を見て、それをハリーに見せたのだろう。円形の部屋のことや、この部屋が回って正しい出入り口がわからなくなることは、職員であるルックウッドの記憶では起こっていなかったのだ。彼には正しい入り口を知る何らかの方法を知っていたと思われる。

最初の部屋は明るく照明がされていて、水槽の中に脳みそがいくつも浮かんでいた。この部屋の意味は、結局説明されていないが、死んだ魔法使いの脳が保存されているのだろうか。
ハリーたちは元の円形の部屋に戻った。扉を閉める前に、ハーマイオニーが扉に焼き印をつけた。さすがだ。
次の部屋は広い円形劇場のような感じで、石のアーチにベールがかかっていた。ベールの陰から何か声が聞こえる。ハリーとルーナには聞こえるが、ハーマイオニーとロンには聞こえない。セストラルと同じ理由だろうか。この部屋は35章で戦いの現場になり、シリウスがベールに吸い込まれることになる。

さっきの丸い部屋に戻り、別のドアを試す。そこも駄目で、その次に試した扉でやっと目的の部屋を見つけた。
棚がたくさんあり、ガラスの球がびっしり置かれている。ハリーは記憶にある97列目の棚をめざした。そこにシリウスはいなかった。シリウスどころか、誰もいない。
ハリーはやっと、シリウスがここにいないことを知った。それを口にするのは嫌だったけれど。
ただ、次の章を読むと、まだこの時点でも、自分がだまされたとは思っていなかったようだ。

その時ロンが、ハリーの名前が書かれたガラス球を見つける。
「S.P.T から A.P.W.B.D へ」と書かれているのは、トレローニーとダンブルドアのことだ。そして、「闇の帝王そして(?)ハリー・ポッター」と書かれている。
はりーはその球を手にとった。
ハリーの後ろで「よくやった、ポッター。それを私に渡すのだ」という声がした。ルシウス・マルフォイだった。