ハリー・ポッターと謎のプリンス(第9章前半)

次の日、談話室。ロンは一年生にかみついたり、ハーマイオニーが規則違反の生徒からとりあげたおもちゃを横取りしたり、やりたい放題だ。監督生の地位を利用していばりながら、自らは違反のおもちゃを喜んでいる。それも他人のものを横取りして。
ところで、監督生制度というのはどうなっているのだろうか。五年生で監督生に選ばれると、七年生まで自動的に監督生でいられるのだろうか。パーシーは五年生で監督生になったが、ずっと監督生だったろうか? 監督生が各学年にいるのなら、各寮に監督生は六人いることになるが、そんな記述はない。

朝食のあと、マクゴナガル先生がグリフィンドールの生徒たちに時間割を配った。OWL試験の結果によって、履修可能な科目が決まる。
ハーマイオニーは希望の科目をすべて許された。呪文学、闇の魔術に対する防衛術、変身術、薬草学、数占い、古代ルーン文字、魔法薬学の7科目だ。
ネビルは変身術を希望したが、実は自分の意思ではなかった。祖母が望んだから希望を書いたという。マクゴナガルは「あなたのおばあさまは、どういう孫を持つべきかという考えではなく、あるがままの孫を誇るべきだと気づいてもいいころです」とネビルに言う。わかりにくい表現だが、ほめことばには違いない。わたしはこのせりふが好きだ。マクゴナガルは呪文学をネビルに勧め、「わたしからオーガスタに一筆書いて…」と言い出す。この短いせりふの中にけっこう情報が詰まっている。マクゴナガルとネビルの祖母がファーストネームで呼ぶ仲だということ、祖母は呪文学が苦手だったので、ネビルがこの科目をとるのを嫌がったことなど。ネビルの自己評価が低いのは祖母の責任が大きい。

ハリーとロンにも、希望科目の変更があった。OWLで優をとれなかったので魔法薬学をあきらめていたが、教師が変わったため、良でもこの科目を履修できるという。
このことが、プリンスの教科書のエピソードにつながっていく。

「闇の魔術に対する防衛術」の授業は、「四階下の教室」で行われたと書かれている。グリフィンドールの談話室から四階下という意味らしいが、具体的に何階なのかはわからない。
授業の内容は、無言呪文と盾の呪文だった。

ジャック・スローパーがダンブルドアの手紙を預かってきて、ハリーに渡した。ジャックがクィディッチのことを話し始めたのに、ハリーは「聞いてもいなかった」と書かれている。何かに気を取られるとほかのことを忘れてしまうハリーの欠点が、ここでも表れている。
ダンブルドアの手紙は、第一回個人教授の知らせだった。しかし何を習うのか、ハリーもロンもハーマイオニーも見当がつかなかった。

そして午後、魔法薬学の授業になる。