ハリー・ポッターと謎のプリンス(第10章後半)

ダンブルドアとハリーは、ペンシーブを出て校長室に戻ってきた。
ゴーント一家はその後どうなったのか、ダンブルドアは話して聞かせる。オグデンは姿あらわしで魔法省に戻り、他の役人といっしょに15分後に戻ってきた。この15分後というのがおもしろい、瞬間移動の能力をもつ魔法使いならではのエピソードだ。
モーフィンとマールヴォロは取り押さえられ、裁判にかけられたのちアズカバンへ。ここでハリーは「マールヴォロ」という名前を始めて聞き、その名がトム・リドルのミドルネームだったことを思い出す。そしてメローピーがトムの母親だと気づく。
ダンブルドアは、馬に乗っていたマグルの男性がトム・リドルの父親だと教える。彼もトムと呼ばれていた。

ふたりは結婚した。そして数ヶ月後に、夫のトムは実家に戻った。「たぶらかされた」とか「騙された」とか話しているという噂だった。ここまでは、ダンブルドアが調べた事実だ。
あとはダンブルドアの推測になるが、メローピーは魔法を使ってトムをひきつけ、結婚にこぎつけた。しかし夫を深く愛していたため、魔法で夫をしばりつけることに耐えられなくなり、魔法薬を飲ませるのをやめてしまった。トムはすぐにメローピーを捨てた。ダンブルドアは「トム・リドルは妊娠中のメローピーを捨てた」「リドルは(中略)自分の息子がどうなっているかを、一度も調べようとせなんだ」と言っている。しかし、リドルが妻の妊娠を知っていたかどうかも、実はわからないと思う。

ダンブルドアの机の上に、指輪が置いてあった。それは、オグデンの記憶の中でマールヴォロが見せびらかした指輪と同じものだった。
「ずっと先生がお持ちだったのですか?」
「いや、ごく最近手に入れたのじゃ。」「君のおじ上、おば上のところに迎えにいく数日前にのう」
このやりとりは興味深い。
あとでわかるが、ヴォルデモートはこの指輪を使って分霊箱をつくり、ゴーント家の床下に隠したのだ。それをダンブルドアは見つけ出した。
「死の秘宝」33章、スネイプの記憶の中に、指輪の呪いにやられたダンブルドアが出てくる。あれはこの年の7月前半のできごとだったというわけだ。この巻の3章に「たった二週間ダーズリー家とつきあっただけで救い出されるのは、話がうますぎるような気がした」と書かれているのだから。

ダンブルドア九死に一生の目に遭いながら、それでも数日後にはダーズリー家を訪ねてハリーを連れ出し、スラグホーンにホグワーツ行きを承知させ、さらにウィーズリー家にハリーを連れていった。何ともエネルギッシュな活動ぶりだ。
ハリーも読者も知らないところで、ダンブルドアはいろいろな活躍をしているのだろう。