ハリー・ポッターと謎のプリンス(第20章前半)

ロンが毒入りのはちみつ酒を飲んで危険な目にあったおかげで、ロンとハーマイオニーの仲直りが実現した。
そしてハリーの怪我のおかげで、ジニーはつきあっていたディーン・トーマスと仲違いした。マクラーゲンがハリーにブラッジャーをぶつけたのをディーンが笑ったのがきっかけだったという。
「クートとピークスがハリーをつかまえてくれなかったら、大怪我になっていたかもしれないのよ」とハーマイオニーに言われて、ほうきから落ちるハリーをこのふたりが受け止めてくれたのだとわかる。
ともかく、ロンもハリーも、災い転じて福となったわけだ。

ハリーとハーマイオニーとロンが話しながら八階の廊下を通っていたとき、小さな女の子が立っていて、ハリーたちを見ると手に持っていた秤を落とした。
あとでわかるが、この時ドラコが必要の部屋にいた。女の子はクラッブかゴイルがポリジュース薬で化けだ姿だった。秤を落としたのは、人が来たという合図だった。

退院したその日、ダンブルドアから個人授業の知らせがあった。
時間が来て、ハリーは校長室へ行った。ところがハリーは、ここでダンブルドアに言われるまで、前回出された「宿題」を忘れていた。ま、一度はスラグホーンに迫ってみたけれど、それ以後はホークラックスの件が頭の中から消えていた。
ダンブルドアは、このことを最優先にするよう念を押して、今日の授業に入った。

七年生になったトム・ドリルは、受けた試験はいつも一番で、監督生で主席だった。何人かの教師が魔法省への就職を勧めたが、トムはどれも断った。そして、当時の校長ディペットに、闇の魔術に対する防衛術の教師になりたいと申し出た。しかし校長は若すぎると断った。実はダンブルドアの助言により断ったのだが。
トムは、ボージン・アンド・パークスで働き始めた。この時期の大切な情報が、ホキーという名の屋敷妖精の記憶からわかるというのだ。

ペンジーブの中に入ったハリーは、ホキーの記憶を見る。
ホキーの主人は、ヘプジバ・スミスという名前の老婦人だった。そのヘプジバのところへ、トムが訪ねてきた。スミス家にある甲冑を買うための商談に来たのだ。
ヘプジバは、ハッフルパフのカップをトムに見せる。ヘプジバ自身がヘルガ・ハッフルパフの遠い子孫だというのだ。
そしてヘプジバは、スリザリンのロケットも見せる。バークがみすぼらしい身なりの女から買ったものでその女はこのロケットの価値を知らなかったようだと、ヘプジバは話す。
ヘプジバは知らないが、トムにはわかった。それが自分の母親のものだったと。トムの目が赤く光った。この頃から、感情が高ぶると目が赤くなっていたのだろう。のちには完全に赤い目になるのだが。

ヘプジバはふたつの宝物をトムに見せ終わると、ホキーに「ふたつとも持っていって、また鍵をかけておきなさい。いつもの呪文をかけて…」と指示する。
ここで、ホキーの記憶は終わる。

ダンブルドアは、改めて話し始める。ヘプジバ・スミスがこの2日後に亡くなり、ホキーが犯人にされたのだと。
トムはリドル一家を殺したときと同じように、ヘプシバを殺して別の者に罪をかぶせたのだ。
ホキーの有罪が確定した頃、ヘプジバの親族は、家宝のカップとロケットが無くなっていることに気づいた。トム・リドルはその時期、もう店を辞めていて、行方はわからなかった。
モーフィンから指輪を奪ったように、トムがふたつの宝を奪ったことは間違いないと、ダンブルドアもハリーも考えた。

ホキーはとても年取っていたが、彼女が死ぬ前にダンブルドアはホキーの記憶を採取することができたというわけだった。
これはハリーが生まれるよりずっと前の話だ。ダンブルドアはその頃から、ヴォルデモートに関する情報を集めていて、ホキーの記憶もそのひとつだったということになる。