ハリー・ポッターと謎のプリンス(第24章前半)

「翌朝の『呪文学』のクラスで、ハリーは、ロンとハーマイオニーに一部始終を話して聞かせた(その前に近くの生徒たちに『耳塞ぎ呪文』をかけておいた」と書かれている。
授業中に私語をする場面はけっこうあるが、そのたびにわたしは不愉快になる。何も授業中に秘密の話をしなくても、早めに大広間へ行ってサンドイッチでも持って中庭へ出たら話せるんじゃないか。今は4月で、外は寒くないだろう。
(4月21日が姿あらわしの試験の日だと21章の最初に書かれていて、章のなかばでは「試験はあと2週間に迫り」となっている)
しかも、少し読み進むと「呪文学のあとは、珍しく三人そろっての自由時間だったので…」と書かれている。それならなおさら、授業中にそんな大事なことを話すべきではないだろう。
ただ、主人公たちが教師や他の生徒を出し抜いて私語を楽しむ場面は、十代の読者には楽しいのかもしれない。原作者はそういう読者心理を狙ったのかな?

ロンは話を聞きながら、何となく杖を振っていた。するとまわりに雪が降って、生徒たちの頭にふりかかった。こういう「無意識の魔法効果」も、ハリポタの世界にはあるようだ。

ロンはラベンダーときちんと別れたという。ディーンとジニーもけんか別れしたと、ハーマイオニーが教えてくれた。ハリーは心の中で葛藤する。彼女はディーンを振った。チャンスだ。しかし彼女はロンの妹だ。ロンに話したらぶん殴られると。
わたしにはどうしても理解できない。なぜジニーとハリーが仲良くなったらロンが怒るのだろうと。でもこの物語では、それが当然のように書かれている。

ケイティ・ベルが登校してきた。呪いのネックレスにやられて入院していたが、退院後数日自宅療養してホグワーツへ戻ってきたという。
ハリーは、誰がネックレスをケイティに渡したのかを確かめようとしたが、ケイティは覚えていなかった。「三本の帚」の女子トイレに入ったところで記憶がとぎれていて、二週間後に病院で目を覚ますまでのことは何も覚えていないのだという。服従の呪文というのは、そういうものなのだろう。相手を命令通りに行動させるだけでなく、誰にどんな命令をされたのかも思い出せないようにする魔法なのだ。

ロンが回復したのでマクラーゲンがチームを抜け、ケイティが復帰したのでディーンがチームを抜けた。
ハリーはジニーとふたりきりになりたいとずっと願っていたが、機会が見つからなかった。
一方で、ドラコ・マルフォイが必要の部屋で何をしているのかも、ハリーは執拗に調べようとしていた。残っているフェリックス・フェリシスを使いたい理由はたくさんあったが、ハーマイオニーの目を気にして実行に移せなかった。「あの薬の残りをムダにしないで! ダンブルドアが(分霊箱を入手するために)あなたを連れていくときに、あらゆる幸運が必要になるわ」と、ハーマイオニーは正論を述べていたのだ。