ハリー・ポッターと死の秘宝(第11章後半)

ルーピンが出ていったあと、ハリーは彼がおいていった「日韓予言者新聞」をめくってみた。
写真が目にとびこんで来た。昔のダンブルドア一家の写真だった。父親のパーシバルは美男子。母親のケンドラは黒髪でまげを高く結っている。赤ん坊のアリアナを抱いていた。少年アルバスとアバーフォースはよく似ている。
こども時代によく似ていたという情報は、ここで初めて出てくる。しかし今は似ていないはずだ。「不死鳥の騎士団」でムーディがハリーにアバーフォースの写真を見せたが、そのときにハリーは兄弟が似ているという印象は受けていない。ホッグズ・ヘッドでバーテンに会ったときも、校長に似ているとは思わなかった。
「アルバスの鼻が折れる前で、メガネをかける前のことだからだ」と書かれているのは、ハリーたちが「それまでアバーフォースに会っていながら気づかなかった」という設定を納得させるための説明だろう。

記事は、リータ・スキーターが書いたダンブルドアの伝記の抜粋だった。
そこには、アリアナがスクイブであり、家族はアリアナの存在を隠して暮らしていたと書かれていた。

そのとき大きな音がして、ハリーのすぐそばにクリーチャーが姿あらわしした。マンダンガスがいっしょだった。巧みに逃げるマンダンガスを追いまわし、やっと捕まえたのだ。
マンダンガスは杖を抜いたが、ハーマイオニーの方が素早かった。エクスプリアームスの呪文で相手の杖をとばした。これはハリーの得意技だが、ハーマイオニーも十分使えるのだ。
マンダンガスは逃げ出そうと走り出したが、ロンがとびかかって捕らえた。みごとな連係プレーだ。

マンダンガスは、七人のポッター作戦のときのふるまいの言い訳を始めたが、ハリーたちが聞きたいのはもちろんそんなことではなかった。重要なのはロケットの行方だ。
マンダンガスの答はこうだった。ダイアゴン横町で品物を売っていたら、ひとりの魔女がきて、魔法製品を売買する許可を持ってるかとただした。そして罰金をとろうとしたが、ロケットに目をとめ、それをくれれば今度だけは見逃してやるといった。

「その魔女、だれだい?」ハリーが聞いた。
マンダンガスは相手の名前を知らなかったので「魔法省のババアだ」「頭のてっぺんにリボンだ」「ガマガエルみたいな顔だったな」と答える。
魔法界は狭い。ロンもハーマイオニーもハリーも、それだけで誰のことかわかった。原作者はここでアンブリッジの名前を出さずに、三人の反応の描写だけで読者にもそれとわかるように書いている。