ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(第11章後半)

ロンとハリーはほうきを見て大喜びだったが、ハーマイオニーは案の定顔を曇らせた。しかし言い争いが始まろうとした時、クルックシャンクスがロンのポケットにとびかかったので、今度は猫のことで言い争いになった。スニーコスコープが回り始めた。
ハーマイオニーがクルックシャンクスを連れて部屋を出ていったあとも、スニーコスコープは鳴り続けている。この警報器は猫に反応して鳴ったのではないらしい。するとほうきに反応したのだろう、とわたしは考えてしまった。原作者のミスリードにうまうま乗せられたわけだ。実はスキャバーズに反応していたのだろう。
ハリーが久しぶりに見たスキャバーズはやせ衰えていた。ロンは猫のせいだと信じていたが、ハリーはスキャバーズの寿命が尽きかけているのではと想像する。ダイアゴン横町のペットショップで、ねずみは3年ぐらいしか生きないと言われたのを覚えていたからだ。
どちらも正解じゃなかったことは、あとでわかる。

クリスマスの朝の大広間は、いつもの寮ごとのテーブルではなく、ひとつのテーブルに全員が座った。教師が5人、管理人のフィルチ、一年生ふたり、スリザリンの五年生がひとり、そしてハリーたち3人。一年生のひとりの名前はデレクだとあとでわかるが、この生徒はストーリーにはからまない。
そこへ、めったに大広間では食事をしないトレローニーがやってくる。水晶玉の予告にしたがって来たのだと言う。しかしトレローニーは、自分が加わると13人になり、最初に席を立つ者が最初に死ぬと騒ぎ始める。よくよく死を予告するのが好きな人だ。

ハリーとロンが先に談話室へ戻ってほうきを眺めていると、ハーマイオニーとマクゴナガルが談話室に入ってくる。
「これを預からせてもらいますよ」「呪いがかけられているか調べる必要があります」とマクゴナガルが言う。ハリーは「このほうきはどこも変じゃありません!」と叫ぶが、自分のことばに何の根拠もないと自分でわかっているのだろうか。

ハーマイオニーは、シリウス・ブラックが何かの悪巧みのためにこのほうきを送ってきたと推測した。マクゴナガルも同じ意見だった。実は半分だけ合っていたのだが…
クルックシャンクスのことで機嫌が悪かったロンは、これで決定的にハーマイオニーと決裂してしまう。ハリーの安全のためを思っての行動だったのに。