ハリー・ポッターと賢者の石 第15章(後半)

森へ入る目的は、ハグリッドのしごとを手伝うことだった。傷ついたユニコーンを探すというのだ。
「水曜日に最初の死骸を見つけた」とハグリッドは言うが、いったい何日前のことなのか、読者にはわからない。夜の11時から始めるというのだから、休みに入る金曜日にでも罰則を実行したのだろうか。

この森で、ハリーはふたつの存在に出会う。
ひとつはケンタウルスだ。3人のケンタウルスが登場する。ロナン、ベイン、フィレンツェ、全部男だ。女のケンタウルスっていないのかな?
もうひとつは、フードをかぶっている何者かで、死んだユニコーンの血を飲んでいた。
この「何者か」は、「獲物をあさる獣のように地面をはってきた」「ハリーに向かってスルスルと近寄ってきた」と描写されている。二本の足で普通に歩くやりかたで移動していないのだ。
この「何者か」の正体はクィレルだったことが、17章のヴォルデモートのせりふでわかるのだが、ヴォルデモートがとりつくと、地面から浮いて移動できるのかもしれない。「死の秘宝」では、ヴォルデモートが空を飛べることが判明するが、「賢者の石」の不完全な肉体でも、ヴォルデモートは他人の使えない魔法を使えるのだろう。

フィレンツェはハリーに、ユニコーンの血の効用と、血を飲むことで呪われた命になることを教える。そして、賢者の石を誰がねらっているか、ヒントを与える。

森から戻ったハーマイオニーとハリーは、談話室にいたロンに森でのできごとを話す。それまで、スネイプが個人的な理由で石を狙っていると考えていたハリーだが、石を欲しがっているのはヴォルデモートで、スネイプはその命令で動いているとハリーは結論する。

森へ入る前にフィルチは「夜明けに戻ってくるよ。こいつらの体の残っている部分だけ引き取りにくるさ」と言っていた。
しかしあとの記述を見ると、夜明けよりかなり前にハリーたちは寮に戻っている。森での作業が終わってフィルチが迎えにきたのか、それともハグリッドが送っていったのか。
また、この夜ハリーがベッドへ入ろうとすると、シーツの下に透明マントが置いてあった。誰かが(おそらくダンブルドアが)寮にまで入り込んだことを、ハリーは変に思わなかったのだろうか?

前回のブログにも書いたが、そもそもこの罰則は変だ。いくらハグリッドの手伝いと言っても、一年生にやらせることだとは思えない。
「死の秘宝」の最後まで知ってからここを読み返すと、この罰則もダンブルドアの策略のひとつではないかと思えてくる。ハリーにヴォルデモートの存在をはっきり知らせる目的で、ダンブルドアがマクゴナガルとハグリッドに指示をして、こんな奇妙な罰則をやらせ、ヴォルデモートと対決する決意をうながしたのではないか。
そして、ダンブルドアと親しいフィレンツェに、「ハリーが危ない目にあったら守ってやってくれ」と頼んでいたのだろう。フィレンツェが出現する場面の描写を読むと、こうまでタイミング良く助けがくるのは、話がうますぎる。決して偶然ではないだろう。