ハリー・ポッターと秘密の部屋 第14章(後半)

ハリーの荷物が荒らされた翌日の朝食後、ハリーはまた謎の声を聞く。
ロンにもハーマイオニーにも聞こえなかったが、ハーマイオニーはいきなり、「たった今、思いついたことがあるの! 図書館に行かなくちゃ!」と走り去る。
この時ハーマイオニーは、謎の声が蛇語だと気づいたのだろう。ハリーがパーセルマウスであることは、第11章でわかったのだし。

ハリーはもう一度その声を聞きたいとその場を動かず、クィディッチの試合時間が迫っているとロンにうながされる。ハリーにはこういうところがある。何かひとつ気になると、他の大切なことを忘れてしまうのだ。それがいちばん顕著なのは「死の秘宝」31章、マクゴナガルに「何か探し物をするはずではないのですか?」と言われた時だが、それはずっと先の話だ。

ロンにうながされてクィディッチ競技場に来たハリーだが、突然、試合の中止が告げられる。
ハリーとロンはマクゴナガルに連れられて医務室へ。そこには石にされたハーマイオニーがいた。犠牲者はハーマイオニーのほかにもうひとり、ハリーたちがポリジュース薬を飲んだあの時、スリザリン寮への道を尋ねたレイブンクローの女生徒だった(ジョージが、2ページあとでその女生徒の名を、ペネロピー・クリアウォーターだと言っている)。
ふたりのそばに小さな鏡が落ちていたことは、大事なヒントになるのだが、この時点ではわからない。

ハリーとロンは意を決してハグリッドを訪ねる。夜間の外出は禁止されたので、透明マントをかぶってこっそりと小屋に来る。
しかし、ハグリッドと話を始める前に、ダンブルドアがやってくる。ダンブルドアに同行してきたのは、魔法大臣のコーネリウス・ファッジだった。
ファッジはハグリッドを連行しにきたのだ。50年前に秘密の部屋を開けたと思われているハグリッドを連行することで、魔法省が何か手を打っていると魔法界に認めてもらいたいのだという。「わたしにも立場というものが……」と泣き言を言うファッジを、小物だけれども正直な男だと、おかしな感心をしてしまった。
そこへルシウスがやってくる。学校の理事12人全員が、ダンブルドアの罷免を決めたというのだ。

ダンブルドア、ファッジ、ルシウスの会話から、この3人がファーストネームで呼び合う仲だとわかる。また、ファッジは必ずしもダンブルドアと意見が一致するわけではないが、少なくともこの時点では、校長を辞めさせたいとは思っていない。

ダンブルドアは辞職を承知し、「わしがほんとうにこの学校を離れるのは、わしに忠実な者が、ここに一人もいなくなった時だけじゃ」と言い残す。この時のダンブルドアは、透明マントに隠れているハリーとロンに気づいていたようすだ。ダンブルドアは、透明マントを見通す魔法を知っているのだろう。

ハグリッドもハリーたちに言い残す。「誰かが何かを見つけたかったら、クモの跡をおっかけていけばええ」と。