テントの外の五人が立ち去ったあと、ハーマイオニーはビーズバッグからフィニアス・ナイジェラスの肖像画を取り出した。 フィニアスの顔が現れると、ハーマイオニーはすぐさま呪文で目隠しをかけた。自分たちがどこにいるかをスネイプに知らせないためだ。あ…
魔法省から逃走し、ワールドカップがあった森へ着いて、一夜が明けた。 三人の「分霊箱探しの旅」は、実質的にはここで始まる。 早朝、ハリーはテントを出て森の中を歩き、大きな木の根元にムーディの目玉を埋めた。 結婚式場から逃げ出した直後に喫茶店で襲…
この章の章タイトルは The Thief(盗っ人)だ。読み始めにはマンダンガスのことかと思ったが、実はグレゴロビッチから杖を盗んだ男のことだった。その男を追うヴォルデモートの意識は、ときどきハリーの意識と重なる。それがグリンデルバルトだったことをハ…
この章の魔法省の場面と、28章のグリンゴッツの場面は、個人的にあまり好きではない。エピソードが不自然すぎるだからだ。 4章の「七人のポッター作戦」や、20章のラブグッド家から逃れる場面などは、ハラハラドキドキで楽しめる。しかし職員に化けて魔法省…
この時期、三人はそれぞれ別の部屋で夜眠るようになっていた。ハリーはシリウスが使っていた部屋でベッドに入り、これまで打ち合わせをしていた魔法省侵入の計画を頭の中で復習した。しかし明かりを消すと、ヴォルデモートの心とつながった時に聞いたグレゴ…
本物のロケットを持っているのはアンブリッジだと判明したので、ハリーたちは魔法省に行ってロケットをうばうことを考え、その準備を始めた。 ただ、それがわかるのは、この章を数ページ読み進んでからだ。 小説の記述は、まず8月末のグリモールド・プレイ…
ルーピンが出ていったあと、ハリーは彼がおいていった「日韓予言者新聞」をめくってみた。 写真が目にとびこんで来た。昔のダンブルドア一家の写真だった。父親のパーシバルは美男子。母親のケンドラは黒髪でまげを高く結っている。赤ん坊のアリアナを抱いて…
Pottermore には、レギュラスの死が1980年頃だと書かれている。ハリーが生まれた年だ。 レギュラスがすぐに自殺行為に出ず、もう一年か二年様子を見ていたら、ヴォルデモートが凋落するのを見て、安全にダンブルドアと連絡をとれたのに。分霊箱のことをダン…
ハリーがクリーチャーの名前を呼ぶと、姿あらわしを示すパチンという音がして、クリーチャーが姿をあらわした。 名前を呼ぶだけで、何百キロも離れた場所にいる屋敷妖精を瞬時に呼び出せる。それも、部屋がいくつもあるブラック邸の中の、ハリーが今いる部屋…
グリモールド・プレイスの客間で、三人は寝袋にくるまって一晩を過ごした。 寝袋はおそらく、ハーマイオニーが持っていたのだろう。あとでわかるが、ハーマイオニーはテントまでバッグに入れていたのだから。 眠っているハーマイオニーとロンが親しげに見え…
ハリーが隠れ場所としてグリモールド・プレイスを提案したとき、ロンもハーマイオニーも賛成できないという顔をした。スネイプが入れるからだ。今やスネイプも「守人」のひとりになっている。スネイプはヴォルデモートの部下でダンブルドアを殺した憎い敵と…
「客は蜘蛛の子を散らすように走り出し、大勢が姿くらましをした。隠れ穴の周囲に施されていた保護の呪文は破れていた」と書かれている。 姿くらましで出入りできないようになっていたはずなのに、それがすでに破られているということは、魔法省にいる死喰い…
ハリーは列席者の中にエルファイス・ドージを見つけた。日韓予言者新聞に長文のダンブルドア追悼文を書いた人だ。その記事に添えられていた写真の記憶から、ドージだとわかったのだ。ハリーは本当の名前を名乗って、ドージに話しかけた。せっかく他人に化け…
翌日。結婚式が始まろうとしていた。 ハリーはポリジュース薬を飲んで、赤毛の他人になりすましていた。「親戚の多いウィーズリー一族にまぎれこませ、『いとこのバーニー』として紹介するという計画になっていた」と書かれている。ウィーズリーの親戚はみな…
アーサーといっしょに入ってきた魔法大臣スクリムジョールは、前に会ったときより頬がこけ、厳しい表情になっていた。就任から一年、いろいろ苦労があったのだろう。 しかし、このあとの話を読むと、彼に同情しかけた気持ちがふっとんでしまう。 スクリムジ…
7月31日の夜明け。ハリーの夢からこの章が始まる。ヴォルデモートの意識とつながっている夢だ。ハリーはこのような夢を過去にも何度か見ている。 今回、ヴォルデモートは山道を歩いている。ある男に会いに行くところだ。その男が、ヴォルデモートが求めてい…
ハリーとロンとハーマイオニーは、話し合いを続けている。 ハーマイオニーは、話しながら本をどんどん仕分けしていた。彼女には、ふたりの発言をとらえて理解しながら本を分類するという、ふたつの頭脳労働を同時に行う能力があるのだ。誰にでもできることで…
前章で、ビルとルーピンはムーディの遺体を探すために出ていった。 だからこの章では、その結果がまず書かれると思ったのだが、作者はムーディの遺体については何も言わず、単に「マッド・アイを失った衝撃は、それから何日も、家中に重く垂れ込めていた」と…
モリーが呼びかけた。 「ハリー? あなたが本物のハリー? 何があったの? ほかのみんなは?」 このせりふから、ハリーより早く着く予定だった人たちがここへ着いていないことがわかる。ハリーも即座にそれを理解したようだ。 「ほかには誰も戻っていないの…
自分が地面に落ちたことはわかったが、いったん姿を見せたヴォルデモートが消えた理由がわからず、ハリーはとまどっていた。近くにハグリッドが倒れているのが見えたので、ハリーはよろめきながら近づいた。そのとき、「誰かね? 君はハリー・ポッターか?」…
ハリーはヘドウィグが入っている鳥かごとファイアボルトとリュックサックを手に、オートバイにとりつけたサイドカーの中にいた。乗り心地がとても悪かった。 なぜリュックサックを背中に背負わなかったのか不思議だ。マグルの世界でも、災害にあって避難する…
ダーズリー家の三人とふたりの魔法使いは、バーノンが運転する車で走り去った。 ここで、ハリーが思い出にふけるところがあるのだが、ダーズリー親子の留守にハリーがけっこう勝手なことをしていたことが描写される。冷蔵庫からおいしそうなものを取って食べ…
第3章はハリーとバーノンのやりとりから始まり、ダーズリー家の三人が自宅を去るところから始まる。 ダーズリー家の三人は、ハリーを引き取ったばかりにこれまでいろいろな目にあってきた。そしてとうとう、住み慣れた自宅を去ることになった。 一年後には…
舞台はダーズリー家に移る。 「あと四日間も魔法が使えないなんて、ばかげている」と書かれているから、今は7月26日か27日なのだろう。 ハリーは右手を怪我していた。トランクの中身を整理していて、ガラスの破片で右手を切ったのだ。 「傷の治し方など習っ…
第一章は、マルフォイ邸に近い小道を舞台に始まる。小道にヤックスリーとスネイプが同時に姿あらわしする。ふたりともとっさに相手に杖を向けるが、相手が誰かわかると杖をおろし、短い会話をかわす。 小道の描写に「左側には茨の灌木がぼうぼうと伸び、右側…
校長の横死という事件をうけて、「授業はすべて中止され、試験は延期された」と書かれている。 授業の中止はわかるが、延期された試験はいつやるのだろう? 夏休みが済んでから実施されるのだろうか。これについては何の記述もないので、わからないままだ。 …
ウィーズリー夫妻とフラー・デラクールがいっしょに来たということは、フラーはウィーズリー家にいたのだろう。 ビルは意識のないままベッドで寝ている。 「ビルはどうなりますか?」とアーサー・ウィーズリーはマクゴナガルに聞く。マクゴナガルはルーピン…
ジニーにうながされて、ハリーはダンブルドアのそばを離れた。ハリーを医務室に連れて行くようにと、ジニーはマクゴナガルに指示されていたのだ。 歩きながら、ジニーは騎士団仲間の安否を話した。27章で「誰かの死体をまたいだ」とドラコが言っていたが、そ…
ハグリッドの小屋は燃えていたが、愛犬ファングは無事に助け出されていた。 ハリーはハグリッドの小屋の火を消そうと、アグアメンティの呪文で水を出した。ハグリッドはいつも持っているピンクの傘を構えて、同じ呪文を唱えた。傘の先から水が飛び出した。 …
ダンブルドアが塔から落ちるのを確認したスネイプは、ドラコをうながしてすぐに出ていった。グレイバックとカロー兄妹が続いた。もうひとりの死喰い人がそのあとを追って出ていこうとしたとき、ハリーはとっさにペトリフィカス・トルタスの呪文をかけた。 ハ…