2014-01-01から1年間の記事一覧

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第13章(後半)

この章の最初から四分の一ぐらいのところに、「なぜリドルの日記を捨ててしまわないのか、ハリーは自分でもうまく説明できなかった」と書かれている。おそらく、日記の中のリドルの魂が、ハリーの心に働きかけてそうさせていたのだろう。ジニーをあやつれた…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第13章(前半)

章の始めに「ハーマイオニーは数週間医務室に泊まった」と書かれている。本来1時間で元の姿に戻るはずなのに、猫の毛を入れたために数週間も戻れなかった。そこまでの設定にする必要があっただろうか?元に戻るのに丸一日かかったという程度でも、ストーリ…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第12章(後半)

ポリジュース薬が完成した。 薬の材料を調達するのも、それを煎じるのも、主にハーマイオニーがやった。そして、変身する相手の体の一部(この場合は髪の毛)を手に入れる手段を考えたのも、ハーマイオニーだった。睡眠薬を仕込んだケーキを用意して、それを…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第12章(前半)

ハリーは校長室に連れて来られる。 校長室は今後何度も出てくるが、ハリーにとっても読者にとっても、この時初めて見る場所だ。 前章の終わりの描写も含めて、校長室の外見をメモしてみる。 校長室の入り口は、ふだんは普通の壁にしか見えない。廊下にガーゴ…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第11章(後半)

玄関ホールの掲示板に「決闘クラブ」のお知らせが貼り出される。 ホグワーツの生活には、よく掲示板が出てくる。一斉メールのような魔法はないらしい。 生徒たちの会話の中に「フリットウィック先生って、若いとき、決闘チャンピオンだったんですって」とい…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第11章(前半)への追伸

昨日、「毒ツルヘビって何?」と書いた。 今日、改めて原文の boomslang を辞書でひいてみたら、「ブームスラング。アフリカ南部に生息するナミヘビ科の樹上性の大型の毒へび」とあった。 魔法生物じゃなかった! 「幻の動物とその生息地」に載っていないの…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第11章(前半)

ひと晩かかって腕の骨が治ったハリーは、医務室で朝食をとる。 誰がどこで食事を作っているのかがわかるのは、「炎のゴブレット」に入ってからだ。でも読んでいて気にならなかった。単純に「魔法でパッと出すのだろう」と思っていた。 ハーマイオニーとロン…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第10章(後半)

クィディッチの試合の日の描写は「土曜日の朝、ハリーは早々と目が覚めて…」で始まっている。 何月かは書かれていないが、「賢者の石」11章で、11月にクィディッチシーズンが到来したと書かれているので、この年も11月だろう。 審判は昨年の初試合同様、フー…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第10章(前半)

ある日の「闇の魔術に対する防衛術」の授業のあと、ハーマイオニーはロックハートに話しかける。手には図書室の本を借りるための許可証用紙がある。 「図書室からこの本を借りたいんです。参考に読むだけです」「禁書の棚にあってどなたか先生のサインをいた…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第9章(後半)

前回のブログの最後に「ホグワーツの羊皮紙は、決まった大きさの字しか書けないように『原稿用紙罫の魔法」をかけてあるのだろうか」と書いた。 これを撤回しなければならない。(申し訳ありません!) ロンのせりふに「ハーマイオニーなんか、もう1メート…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第9章(前半)

フィルチがやってきて、硬直した猫に気づく。 この物語の中で、フィルチは最初から最後まで「いやな奴」として描かれている。でも、自分の猫が殺されたと思った時の取り乱しようから、彼が愛情深い人間だということがわかる。 魔法界に生まれながら魔法を使…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第8章(後半)

「絶命日パーティー」の描写が続いている。 わたしはここを読むまで、魔法界のゴーストは地縛霊みたいなもので、ホグワーツの幽霊はホグワーツから離れられないのだと思っていた。しかしニックが「『めそめそ未亡人』は、はるばるケント州から来てくれました…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第8章(前半)

この章は「十月がやってきた」で始まる。前の章から1ヶ月足らずの日数がたっているのだ。 「風邪が流行しだした」「ジニー・ウィーズリーはこのところずっと具合が悪そうだったので…」という記述が最初のページにある。ここだけ読むと、ジニーが風邪をうつ…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第7章(後半)

前回に書いた「穢れた血」だが、mudblood をこう訳したのはうまいと思う。この訳者の日本語のセンスにはついていけないと思う部分が多いが、たまには感心させられる時もある。 ロンがマルフォイにかけようとした呪いの名称は、小説のどこにも見つからなかっ…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第7章(前半)

二年生になって一週間。休みだと思っていた土曜日に、ウッドに起こされる。クィディッチの練習をするというのだ。ベッドを出て、ほうきを手に練習場へ行こうとすると、コリン・クリービーにつきまとわれる。コリンはハリーのファンで、ハリーのことなら何で…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第6章(後半)

薬草学の次は変身術の授業だった。折れたロンの杖はテープで修理されていたが、使い物にならないことが授業の中ではっきりする。 ここで出てくる「スペロテープ」って、何のことだろう。原文では Spellotape、大文字で始まっている。「呪文」を意味する spel…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第6章(前半)

新学期2日目の朝、ハリーは「吼えメール」の存在を知る。赤い封筒で、開封したとたんに、大声で叫ぶ手紙だ。ハリーとハーマイオニーは知らなかったが、ロンとネビルは見た瞬間にそうとわかった。魔法界では知られているのだろう。吼え終わったら燃え上がっ…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第5章(後半)

車から放り出されたハリーとロンは、スネイプの部屋である地下室に連れて行かれる。 日本語訳は「地下牢」となっているが、適切な訳だとは思わない。dungeon はたしかに地下牢を意味する単語だが、牢と関係のない地下室をさすこともある。この物語では、地下…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第5章(前半)

1ヶ月間ウィーズリー家で過ごしたハリーは、2年生の新学期を迎えるべく、自動車でキングズ・クロス駅へ向かう。 フォード・アングリアという自動車がどんな形なのか知らないが、「小型」と書かれているから、せいぜい5人乗りぐらいのものなんだろう。内部…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第4章(後半)

ハグリッドに出会ってダイアゴン横町へやっとたどりついたハリーは、ハーマイオニーに出会い、ロン一家とも再会できた。 そしておどろいたことに、ハーマイオニーの両親がグリンゴッツにいた。マグルの貨幣を両替に来たらしい。 ということは、マグルもダイ…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第4章(前半)

ダーズリー家にドビーがやってきたのはハリーの誕生日だったから、7月31日だ。この日にハリーは自室に閉じ込められ、3日後にロンたちが助けに来た。 そうすると、ハリーは8月4日前後から9月1日まで、ウィーズリー家に居候していたことになる。 ウィー…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第3章(後半)

「隠れ穴」と呼ばれるウィーズリー家にやってきたハリー。勝手に車を持ち出して家を空けたことで、ロンたち3人は母親にこっぴどく説教される。しかし彼女はハリーにとても優しく接する。彼女がハリーの皿にソーセージや目玉焼きを入れるくだりは、質素な食…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第3章(前半)

バーノンに閉じ込められているハリーを、フレッド・ジョージ・ロンの兄弟が助けにくる。窓の外に青い自動車が止まっていて、後部の窓からロンの顔がのぞいていた。ハリーが寝ていたのは2階だから、車は窓の外に浮かんでいるわけだ。運転席にはフレッドが、…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第2章(後半)

台所に置いてあったデザートをドビーが床に落とすのに使った魔法は、浮遊術という名前らしい。物を浮かせて移動させ、そこで落としたのだ。ドビーが呪文を口にした形跡はない。ほかの巻でも、屋敷妖精が呪文をとなえる描写はないので、一般に屋敷妖精は呪文…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第2章(前半)

「賢者の石」で、わたしたち読者はいろいろな魔法界の住人を知った。 動いたりしゃべったりする肖像画、手紙や荷物を運ぶふくろう、グリンゴッツの小鬼、森に住むケンタウルス・・・ そして、「秘密の部屋」のこの章では、屋敷妖精という存在を知る。 「秘密…

ハリー・ポッターと秘密の部屋 第1章

ハリー・ポッターシリーズは全部でひとつの小説で、巻ごとの読み切りではない。 しかしどの巻も、第1章には初めて読む人のための簡単な解説が本文中でなされている。こういう配慮は評価できる。 ただ、巻に番号がついていないのは残念だ。リアルタイムで順…

ハリー・ポッターと賢者の石 第17章(後半)

ハリーが目を覚ますと、ホグワーツの医務室のベッドの上だった。ダンブルドアが上からのぞきこんでいた。かたわらには見舞いのお菓子が積み上げてあった。 意識を失っている間に3日たっていたのだ。 読んでいておどろいたのは、ダンブルドアが「石はもう壊…

ハリー・ポッターと賢者の石 第17章(前半)

ロンの活躍で巨大チェスの部屋を突破し、ハーマイオニーのおかげでびんのパズルの部屋を無事通り抜けたハリーは、さらに奥の部屋へ入る。そこにはクィレルがいた。 クィディッチの試合でハリーを落とそうとしたのがクィレルだったこと、スネイプは逆にハリー…

ハリー・ポッターと賢者の石 第16章(後半)

ハリーたちは「賢者の石」が隠されている部屋へと向かう。 フラッフィーが守っている4階の廊下でハリーは「君たち、戻りたかったら戻ってくれ」と言い、ロンとハーマイオニーはいっしょに行くと答える。 ロンとハーマイオニーには、ハリーにつきあって危険…

ハリー・ポッターと賢者の石 第16章(前半)

章タイトルの原文は Through the Trapdoor だが、なぜ「仕掛けられた罠」と訳したのだろう。 素直に「仕掛け扉を通って」「仕掛け扉を突破して」じゃいけないのか? それはともかく、ヴォルデモートが森に居ると知ったハリーたちは、試験の時期を迎える。 日…